2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

刑務所内のプロスポーツ

知人の書いたノンフィックション「金とルール 刑務所内のプロスポーツ」(『Number』3月5日号)を読む。昨日のエントリーの刑罰国家の続きではまったくないが、フィリピンの刑務所内でマフィア同士の賭けスポーツが、命がけで行われているさまをルポしようとし…

若田部昌澄「民主党で大恐慌?」とケインズの闘い

数日前にここhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20090211#p1で紹介した『Voice』三月号のうち、若田部さんの「民主党で大恐慌?」(http://news.goo.ne.jp/article/php/politics/php-20090226-01.html)が評判をよんでいるとさきほど友人から教えていた…

川原和子を盛り上げたい(リフレ)

わがマンガ読みの頼もしいアドバイザー(先人)。川原和子さんの最初の著作が、amazon、bk1で予約できるようになりました。僕が安心してそのマンガ読みのアドバイスを聞ける数少ない人です。その著作も、川原さん独特の文体とともに、ただのマンガ読みでは不…

ロイック・ヴァカン『貧困という監獄ーグローバル化と刑罰国家の到来』

ネオ・リベラル政策(市場原理主義的な政策)は、辺境に位置する膨大な未熟練労働者を生み出すとともに、他方で刑罰を厳しく適用し(例:ニューヨークの割れ窓政策)、裁判と刑務所を効率的に活用することで、社会の安定を確保しようとするものである。いわば…

もうなんといっていいやらお手上げ

不幸にもまた目撃したあるブログでの話だが、原田さんたちの新刊『世界経済同時危機―グローバル不況の実態と行方』の内容が間違って紹介されていた。 世界経済同時危機の背景には、新興国や日本とかの過剰貯蓄を、米国が吸収したというグローバル・インバラ…

河上肇忘れられてます

掲示板みて微苦笑。まったく違う話題にかまけてなぜか(田中は)アンチ河上肇ならば、河上肇賞の選考委員も賞も辞退しろ、との名無しさんのへんな書き込みが。ちなみに僕は賞もとってないし、選考委員でもないんだよなあ。だから辞退できないのw ただ東京河…

原田泰・大和総研『世界経済同時危機ーグローバル不況の実態と行方』

草稿段階から拝読させていただきましたが、岩田先生の『金融危機の経済学』、竹森俊平さんの『資本主義は嫌いですか?』、そしてアカロフ&シラーの『Animal Spirit』と並んで、いまのところ最も参考になる今般の世界経済危機関連の本といえます。書評を某誌…

スーザン・ブラックモア『「意識」を語る」(山形浩生・守岡桜訳)

別件で本屋によったらたまたま見つけた。ダニエル・デネットが登場していることが購入した大きな理由。ただし山形さんの長文の解説を先に読んでしまうと、本書を通読する根気はまず失せる 笑。 つまり本書の最大の売りは、デネットでもなく、ましてや他の門…

日本銀行の政府紙幣への言い分

田村耕太郎参議院議員(自民)のブログより 政府紙幣議連に日銀登場 http://kotarotamura.net/b/blog/index.php?itemid=4132 政府紙幣に関して、以下の問題提起があった。1・政府紙幣は通貨発行益の先食いに過ぎない 2・無利子永久国債を日銀に買いオペで…

新刊見本いただく

3月10日には全国発売(早いところではその前の週末にはでてるかも)する予定の、拙著『雇用大崩壊ー失業率10%時代の到来』(NHK出版、生活人新書)の見本をいただく*1。 昨年の本当に末に語り下ろしたものに、つい最近までの議論を取り込んだもの。いま…

門倉貴史『貧困ビジネス』

「貧困ビジネス」論者には、僕は疑いをいつも抱いている。例えば「ネットカフェ難民」が利用するネットカフェ、コインロッカー、コインランドリー、ファーストフード、携帯サービス、100円ショップなどが「ネットカフェ難民」を貧困に滞留させる役割をしてい…

ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』

あら? エントリーを一日間違えてましたね。このアリエリーの本に「「予想どおり不合理」に不況下で社員を守らないと会社社員関係の規律が社会規範から市場規範になり生産性が低下するおそれありと 」いう記述があるといことを、はてブでid:ssuguruさんから…

有象無象のネタはあちらで

昨日は、朝早くから大学で会議、そのあといろいろ研究資料を調べていたらあっというまにこんな時間になってしまった。ところでブログ運営だけど、こちらのブログは経済関係を中心にして、その他の有象無象(マンガ、映画、韓流ネタ)は、http://blog.goo.ne.…

長期的雇用と自己責任について

数日前のエントリー「雇用流動化論の失敗」の続きともいえるところを以下で抜粋。『日本型サラリーマンは復活する』は、いまから考えると、現在に至るおよそすべての僕自身の考えを全面展開したもので、いま読んでも自分で勉強になったりする(笑)。いまは…

じゃんぽ〜る西『パリの迷い方』

コミックは別ブログで書くよ、といいながらすぐにこっちで書くのはいかがなものかと 笑。とはいえ、やはり「はてな」日記に馴れきっているので、やはりこっちが便利w それにこの作品のように、大型ベスト10選出ではほぼ完全に無視されている作品の紹介には…

岩田正美『社会的排除』

「社会的排除」と(例えば松尾匡的な)「疎外」がどう違うのか? 「社会的包摂」と福祉型社会とはどう違うのか? 残念ながら本書は、「貧困」論で語ることが可能な局面をも「社会的排除ー社会的包摂」で語ろうとしたことで、論点がかなり混濁してしまった印…

与謝野大臣の兼務、なんなら首相も兼務したら?

中川秀直氏が「常識」的な発言をした。僕ももちろん「常識」的な立場にたつ。まあ、日本の経済関係のポストは、日本銀行総裁・副総裁人事でも明らかになったが、1)別にいなくてもかまわない、2)いても何してるかわからない という特徴をもつ。 さらにこ…

インフレターゲット採用への第一歩

フィナンシャル・タイムズは、FOMCが事実上のインフレターゲットを採用したという署名記事http://www.ft.com/cms/s/0/8c3e8044-fe24-11dd-932e-000077b07658.htmlを書いていますが、これはあくまでもメンバー個々が抱いている物価安定と最大雇用を達成すると…

円高論者は日本経済を潰すのか?

年末にこのエントリーhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081224#p1で以下のようなことを書きました。 報道などでは円高によってホンダやトヨタなどの自動車産業は大幅な赤字を経常し、非正規雇用の「雇い止め」などリストラも大胆にすすんでいる。経営…

はじめてマンガ研究会にいった!

「マンガばかり読んでるとバカになるぞ」といまは隠居した親父と涅槃にいる母親にいわれた田中ですが、マンガばかりよんでいたおかげで、マンガ研究会にいけました! 本日は日仏学院で小田切博さんの報告を聞いてきましたよ。まあ、その話はとりあえずおいと…

雇用・能力開発機構とセイヴィング キャピタリズム論

昨日の「雇用流動化論の失敗」の後に、本では雇用・能力開発機構の廃止論が続いていた。いま同機構は廃止して、業務を「移管」したり、その担っていた国の職業能力開発業務は今後国の機関で協議されるらしい。まあ、通常だと「廃止」=終り、というのが世間…

清水眞澄『源氏将軍神話の誕生』

献本いただきました。どうもありがとうございます。 以下は本の紹介文より。 『平家物語』『義経記』『御伽草子』等で語られてきた義経と頼朝の伝承と史実の世界。皇祖神に読み替えられた八幡信仰を格にとらえることにより、将軍の権威を確立しようとした頼…

アラン・ムーア『WATCHMEN』再刊

その昔、大枚はたいて古書で買った『WATCHMEN』の翻訳版が、映画の公開に合わせて再出版(おまけつきで)。ぐ〜、1年半か2年前ぐらいだよなあ、これ買ったの。まあ、払ったものを気にしてもしょうがないか(サンクコストは無視しろ)。でも、ぐ〜。 という…

なんで失業や貧困心配する論者が、労働分配率を気にするのか?

よく眼にすることだけど、失業やワーキングプアの苦境を心配する人たちは、なんで労働分配率を重視して、しかもそれが下がっていることを問題視するんだろうか? 僕は理解に苦しむんですよね。 以前、すなふきんさんがまとめてくれたhttp://d.hatena.ne.jp/s…

自民党後継問題&民主党追加経済対策雑感

朝日新聞朝刊から。自民党は麻生首相に退陣フラグ。まあ、本人は首相大好きオタク(なんだそりゃ?)だから党内がどんなに反対しても居座ろうと思えばいれるのかもしれないけれど。それにしても合理的にはもう終りでしょうね。で、後継有力候補の一覧がでて…

雇用流動化論の失敗

2002年に出した(いまではデジタル版が利用可能)『日本型サラリーマンは復活する』(NHK出版)から、雇用の流動化論関連を抜粋(図表は抜かす)。これはAS-AD分析の枠組みで説明しているが、特にその枠組みにこだわらなくても類似の議論は可能である。雇用…

次回作は三月第一週に

NHK出版の生活人新書の一冊として出ると聞いています。まだネットではどこも情報がないのでここでも題名とかは書きませんが、テーマは「雇用問題」です。特に、ごく最近までの雇用に関する話題を、世界金融危機の中で位置づけて語り下ろしたものに、さら…

戦争よりもバブル

ラスカルさんのところから、コメント欄も 戦争よりもバブル──フリーターの数を減少させるもうひとつの方法 - ラスカルの備忘録 http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20090218/1234970909

池田発言で迷惑なこと

池田信夫氏の発言で僕がもっとも迷惑だな、と思うことは、彼がアゴラで「最後のリフレ派」と僕のことを書いたこと。これは端的に事実誤認もいいところだけど(ちなみにリフレについてはこのエントリー参照)、さらに僕にとって困るのは、(何度も書いている…

柳川範之『独学という道もある』

柳川氏の多くの本がそうであるように、クセのない淡白な本である。正直、面白くなかった。もちろん本書のメッセージである「さまざまな生き方がある」ということは本当である。それを否定する材料を見出すことは難しいだろう。例えば本書でもそのさまざまな…