ヒッグス『重農学派』(住谷一彦訳)

松崎蔵之助『経済大観』が1902年で日本では初めての本格的なケネー研究だったと書いた。ついでなのでそれ以前の国際的なケネー研究については、ヒッグス『重農学派』(原書刊行1897年)とその参考文献がいい。重農学派の研究は、重農学派への当時の批判者、…

マイナス金利解除に関する論説を『夕刊フジ』に寄稿

毎週寄稿している『夕刊フジ』「ニュースの裏表」は、今週に行うのではないかとリーク(苦笑)されているかもしれない日銀のマイナス金利解除についてです。おそらく先々週の終わりくらいから今月にマイナス金利解除があるのではとの憶測が高まっていて、そ…

水田洋『ある精神の軌跡』と林達夫

数年前に大塚金之助の詩歌についての論説を書いた。その時に、水田洋先生がその半生記である『ある精神の軌跡』で大塚の人物をかなり批判的に言及していることを知った。実は論説を書いたときには読んでなかったので、いつか読もうかと思い今日まで経ってし…

論説「日経平均株価急騰の経済学」in『電気と工事』2024年4月号(連載第151回)

月刊『電気と工事』での連載151回目は、最近までの日経平均の急騰について書きました。ぜひ店頭・図書館などでご一読ください。もちろん買ってもいいんですよw。 入稿したのはひと月ほど前ですが、日銀のマイナス金利解除の可能性と株価との関係を書いてま…

インド経済についての論説

グローバルサウスという言葉はあまり好きではないが、一応、インド経済論として簡単に去年の秋ぐらいに書いたもの。 グローバルサウスという言葉が2023年の注目ワードだった。どうも厳密な定義はないようだが、ざっくりいうと中国やインドなど、政治や経済、…

『聖なる証』と19世紀アイルランドのジャガイモ飢饉

Netflixで経済思想史的に役立つ動画はほとんどないが、例外的なのはフローレンス・ピューの熱演が印象的な『聖なる証』。アイルランドのジャガイモ飢饉後の世界だが、その惨状が伝わるドラマ。しかしwikipedia のジャガイモ飢饉の記述が詳しすぎる。 一年ほ…

中国デフレ化の経済学

去年の夏前くらいに雑誌に投稿した論説。基本的な認識ではあまり変わらないが、むしろ中国共産党のデフレ放置にも思える政策状況や中国不動産市場の低迷の深さについては最近さらに悪化している。それについてはここ最近のこのブログでも補っているし、ラジ…

松崎蔵之助『経済大観』とフランソワ・ケネーの日本における研究

先日、福田徳三研究会があってその席上(オンラインだけどw)、大友敏明先生から松崎蔵之助の『経済大観』(明治35年、1902年)の話がでた。不勉強で知らなかったが、松崎は同書で日本でも先駆的なケネー研究をしていた。大友先生にはご教授に感謝したい。…

中国の不動産市場不況について

中国の不動産市場の不況について、いつものように自分だけのメモ書きである。これもいつものように月例経済報告の図表が便利だ。今年1月の資料から。住宅価格は低迷している。 地方別実質GDP成長率も住宅価格の低迷と連動? 住宅価格の水準順位とGDP順位が同…

田中秀臣 (経済学者)『 #中国 不動産不況の末路 #金融業界 にデット・オーバーハング』ウィークエンド寺ちゃん 3月16日(土)

今週も人類めつ…じゃないw、ウィークエンド寺ちゃんです。中国の不動産市場不況についてデットオーバハングや清算主義や中国共産党がなぜ積極的な財政・金融政策ができないか、などを話しています。 www.youtube.com

戦闘機論争メモ

花粉症のために行った病院で待ってるあいだ、国会での戦闘機論争をTVでみていた。で、帰ってからつぶやいたが、長島議員からのレクチャー?もあったので、ここでメモ。 戦闘機論争の概要は以下の記事が便利。 www.nikkei. 記事中の慶大の神保謙教授のコメン…

トランプ前大統領が米国大統領に復帰したらどうなるか?

掲題の話題を専門家ベースで少し収集してみたい。ネットではどんな人(国籍や所属などなど)かわからない匿名さんが、トランプ推しで乱暴な言葉を人にいったりするのをみたりする。逆(反トランプ推し)もあるかもしれないがあまり見かけない。どうしてそん…

カントと内村鑑三の楕円、ヘーゲルの円環

先のエントリーの補遺。 カントの考えを楕円としてとらえてみる。 この図表では、私(=主観)と物自体の交差する領域を現象(現象界)とする。この現象界については、西研氏の『NHK「100分de名著」ブックス カント 純粋理性批判 答えの出ない問いは…

アルゼンチンのミレイ大統領の経済政策観とインフレ対策からみえる清算主義的な要素

アルゼンチンのミレイ大統領の経済政策を支えるのはリバタリアンの経済観である。 以下のnoteはそこを適切にまとめていて参考になる。もちろん僕自身はリバタリアンの主張には批判的に距離を置いている。ポイントは「市場の失敗」を国家主義や社会主義が侵入…

高垣寅次郎コレクションと白票事件

『自由思想』の新刊は個人的には面白いものが多かった。ここでは村本孜氏の石橋湛山と高垣寅次郎との関連をめぐる論説をとりあげたい。 特に個人的に興味をひいたのは高垣コレクションである。 これは成城大学で高垣文庫として整理されている。目録や貴重書…

軍事ケインズ主義(?)とロシア

ロシア経済が軍事経済化したため、その軍事支出によって景気が浮揚していて、完全雇用が実現し、インフレはひどいものの、かなりの経済成長を達成している、というのが「ロシア経済を軍事ケインズ主義的にみた見解」だろう。 短期的には高い経済成長率を高い…

中国経済メモ:全人代の閉幕をうけて

中国の経済政策に注目が集まっている。理由は、中国経済の様々な原因(デフレ懸念、消費低迷、不動産市場の不況、米中貿易摩擦の不透明性)による経済失速にどの程度対応できる予算措置が行われるかが注目の的だった。結果は予算規模は拡張的ではあるが、GDP…

田中秀臣 (経済学者)【公式】おはよう寺ちゃん 3月12日(火)

今週のおはよう寺ちゃんです。 www.youtube.com

能登地震「復興と経済政策」国債発行を全力回避、ケチる財務省の思惑 スピードなら予備費も…補正予算でしっかり対応すべき

今週の夕刊フジへの寄稿です。 www.zakzak.co.jp

田中秀臣 (経済学者)『 #日本政府 「デフレ脱却」表明か?』ウィークエンド寺ちゃん 3月9日(土)

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書評『漫画の未来』in『週刊新潮』

今日発売の『週刊新潮』に書評を寄稿しました。今回は、小川悠介『漫画の未来』(光文社新書)です。ぜひご一読ください!

田中秀臣 (経済学者)【公式】おはよう寺ちゃん 3月5日(火)

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【ニュース裏表 田中秀臣】韓国の「人口消滅」危機 先進国で断トツの〝超々低出生率〟背景に経済不安と歴代政権の失敗 日本にとっては他山の石

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田中秀臣 (経済学者)『 #日銀 ・植田総裁「 #インフレ宣言 」』『4月 #金融緩和解除 で #株価 下落に転じる可能性も』ウィークエンド寺ちゃん 3月2日(土)

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『村上春樹×川上未映子 春のみみずく朗読会』

『村上春樹×川上未映子 春のみみずく朗読会』、18歳、1979年からのファンだったが、初めて生(笑)村上春樹さんを間近に。前半は空調のたぶんカビで咳喘息の発作で苦しんだが、吸入してからの後半は朗読や演奏を満喫。得難い体験。他方、大隈講堂のトイレと…

『週刊現代』の「日経平均45000円へ」で日銀の政策と株価の関係について簡単にコメント

いま店頭にでている『週刊現代』の「日経平均45000円へ」で日銀の政策と株価の関係について簡単にコメントしました、ご参考まで。

田中秀臣 (経済学者)【公式】おはよう寺ちゃん 2月27日(火)

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映画「キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る」

去年は関東大震災100年だったので、さまざまなイベントが行われたり、また論評や著作も多く発表・刊行された。映画もドラマやまた表題のようなドキュメンタリーもいくつかあった。もちろん活動家たちが社会分断に傾斜したようなふるまいもあった。政治的な動…

ヘーゲル的円環運動とカント的楕円運動:日本の社会科学の口承的伝統

ヘーゲルの円環運動とカントの楕円運動との違いと、それがもたらした日本の社会科学への影響について考えている。丸山真男とヘーゲルでは、以下の笹倉秀夫先生が丸山真男に行ったインタビュー記録は非常に役立つ。丸山は学的認識ではヘーゲル的弁証法を利用…

なぜ環境活動家は絵画にスープをかけるのか

表題について少し日本語で読めるリンク先をまとめてみたことがある。ついでなのでここにもメモ代わりに。個人的には最後の浜野喬士氏の意見に近いが、より社会の分断をもたらす活動家の動きには否定的なスタンスを僕自身はとっていると思う。 NHKの事実関係…