今月号(9月13日発売予定)は、8月5日に起きたブラックマンデー超えの日本株価の大崩落、そして世界同時株安について解説しました。わりと簡潔に書いたので多くの人に読んでいただければと思います。ただ非経済系の専門雑誌なので、書店や図書館などでご一読頂ければ幸いです。
7月25日の東京株式市場は、日経平均株価が大幅に下落し、3万8000円を割り込んだ。背景にあるのは、植田日銀の利上げ姿勢(とまだ今回は実体は不明だが、リーク系の報道や、自民党の総理候補者たちの相次ぐ利上げ発言など)があるのかもしれない。またダウ平均との連動も高いので日経平均も連動して下落した可能性もある、これは米国の金融政策の方向性がからむ。円安ドル高が円高ドル安方向にふれたのは、トランプ氏の円高修正要求発言ともとれるものや、FRBの金融政策の方向性だろう。ここではこれらの背景を頭にいれた上で、もう少し長めの話を以下でする。
バブル最終期の1989年12月29日の東証株式時価総額は611,151,873 (百万円)。名目GDPは約405兆円ほど。両者の比率は、1.51程度である。現状は、2024年第一四半期では、東証株価時価総額は、977,208,019(百万円)で、名目GDPは597兆円(年率)。比率は、1.64。また第二四半期の名目GDPを約600兆円と粗く推測すると、時価総額は1,004,837,279(百万円)で、比率は1.67.ちなみに5月28日の日経平均株価(プライム市場)は、3万8853円だった。一週間ほどまえの日経平均4万2千円台のときの時価総額とその時の名目GDP比はこれよりも高い水準だったろう。これをどう理解するか? ひとつの考えは以下。
会田卓司(クレディ・アグリコル証券会社チーフエコノミスト)
「日経平均株価は4万円を回復したが、この上昇は、日本経済の質の向上よりも、名目GDPの膨らみが示すリフレによってもたらされたことになる。日銀が金融引き締めを加速させれば、リフレの力が喪失するとともに、日本経済の質の向上の動きも止まり、長期停滞に戻るリスクとなる。」CACIB アンダースロー「日経平均株価の上昇は日本経済の質の向上よりもリフレの力でもたらされた」(2024年7月24日配信より)
メモ書きとして。日本の経済思想史をやっているとこの時期のマルクス主義、マルクス経済学の知識は、僕のようにマルクス主義・マルクス経済学に批判的なものでも必備である。
以下は簡単なリンク集
なんといっても1930年までの日本のマルクス主義文献は以下が包括的。
「戦前マルクス主義関連文献」
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/jlme/index.html
もとになったもの
紙媒体としては、
『マルクス・エンゲルス・マルクス主義研究』第39号(2002年)に、大村泉「高野岩三郎と『日本マルクス主義文献』」で収録。
翻刻『日本マルクス主義文献』
Web版の公開によせて――附論 聯盟版『マルクス・エンゲルス全集』について
久保 誠二郎
https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/617-02.pdf
『日本マルクス主義文献』と大正・昭和初期のマルクス・ブーム
久保誠二郎
https://jshet.net/docs/conference/75th/kubo.pdf
2つの日本語版『マルクス=エンゲルス全集』の企画(1928年)
――高野岩三郎とD.リャザーノフの苦闘:コミンテルンと商業主義出版のはざまで
大村泉
https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/617-01.pdf
高野岩三郎とD.リャザーノフとの往復書簡(1928~1930年) |
高野岩三郎とD.リャザーノフとの往復書簡(1928年~1930年)
大村泉
https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/559-02.pdf
関連して高野岩三郎についてもリンク集(作成途上
https://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_files/11362/9/notes/ja/09takeda20140604final.pdf
「東京帝国大学経済学部の創立と社会政策 」小野塚知二
https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/734_02.pdf
高橋亀吉の著作で国立国会図書館所蔵のもので、オンラインで閲覧できる著作のリストをゆっくり作成するエントリー(高橋亀吉の著作数は174件(高橋亀吉(2011)『『私の実践経済学』はいかにして生まれたか』東洋経済新報社、より)。とりあえずデビュー作から1930年終わりまで。全体の五分の一の確認。
日本資本主義経済の研究 - 国立国会図書館デジタルコレクション
末期の日本資本主義経済と其の転換 - 国立国会図書館デジタルコレクション
日本経済の行詰と無産階級の対策 - 国立国会図書館デジタルコレクション
明治大正農村経済の変遷 - 国立国会図書館デジタルコレクション
日本農民党の運動指針 - 国立国会図書館デジタルコレクション
左翼運動の理論的崩壊 : 右翼運動の理論的根拠 - 国立国会図書館デジタルコレクション
我国の経済と金融の実際 : 最近の経済・金融.為替・財界 - 国立国会図書館デジタルコレクション
経済学全集 第41巻 (現代日本経済の研究 上) - 国立国会図書館デジタルコレクション
経済国難来 : その真相と対策 - 国立国会図書館デジタルコレクション
大不景気襲来 : 及其ノ対策 - 国立国会図書館デジタルコレクション
大思想エンサイクロペヂア 14 - 国立国会図書館デジタルコレクション
経済学全集 第42巻 (現代日本経済の研究 下) - 国立国会図書館デジタルコレクション
実際経済問題講座 第1巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
日本資本主義の合理化 - 国立国会図書館デジタルコレクション
実際経済問題講座 第12巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
経済学全集 第31巻 (日本経済史) - 国立国会図書館デジタルコレクション