2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

AIIB(アジアインフラ投資銀行)について『週刊ポスト』にコメント

いま出ている『週刊ポスト』にコメントしました。日本は創立メンバーには参加しませんでしたが、いい判断だったと思います。AIIBに対しては、今後既存の国際金融機関との連携を要求していくことが肝心だと思います。ネットへの転載はこちら(全文ではない、…

『21世紀の資本』と日本の経済学

以下は『電気と工事』(オーム社)の三月号に寄稿したものの元原稿です。ーーーー フランスの経済学者トマ・ピケティが書いた『21世紀の資本』(みすず書房)が大ベストセラーだ。五百頁を超える分厚い本格的な経済の専門書が、発売ひと月で十数万部も売れた…

素晴らしい感想を頂戴する(高校生団体ピオニエでの基調講演)

今日は、高校生団体ピオニエに招かれて、その基調講演を簡単ですがさせていただき、その後の高校生のみなさんのディスカッションにも参加しました。都内のかなりレベルの高い高校生の方々が横断的に集まり、世界を理解するキーとして経済学に関心を深めてい…

論説「ピケティが本当に伝えたかった3つの論点」in iRONNA

上記の論説を寄稿しました。ご参考いただければ幸いです。http://ironna.jp/article/1137

AIIB(アジアインフラ投資銀行)問題についての論説と東京新聞にコメント

アジアインフラ投資銀行についてBiz Journalに寄稿しました。中国主導のアジア投資構想に日米が反発 腐敗増長や「生活の質」犠牲の懸念 http://biz-journal.jp/2015/03/post_9321.htmlまた本日の東京新聞朝刊の特報面で、AIIB(アジアインフラ投資銀行)問題…

金子昭彦・田中久稔・若田部昌澄『経済学入門 第3版』

ミクロ、マクロ経済学の基礎項目を通年講義を念頭に書かれた経済学の入門書。若田部さんははじめに、終章、そして日本の現実に経済学を応用した切れ味のいいコラムを書いている。ミクロは田中氏、マクロは金子氏が単独で書いていることも見通しをよくする一…

大東和美・村井満『Jリーグ再建計画』(日経プレミアシリーズ)とJリーガーの貧困

Jリーグの現状分析ではいい本。僕はJリーグには90年代前半ぐらい、つまり発足当初ぐらいしか興味なかった。かなり変貌してて、コアなファン以外にわかりにくい構造になっている印象。アイドルでいうと、ガチ恋系の厄介ヲタががっつりいて、なかなかふらりと…

株価と長期利子率の「自然」と「官製」を巡る考察

twitterに書いたものを以下にペーストしただけ。「自然」な長期金利が、例えば(長期)総供給と総需要が一致する水準だとすれば、日本は長いこと、マイナスの長期実質金利を「要求」していたともいえる。別段、いまの長期金利が「不自然」というわけでもない…

中森明夫『寂しさの力』

中森さん個人を知っていると論評するのにとても難しい本だ。なぜならこの本を評価するということは、中森さんの作品ではなく、中森さんという人そのものを論評するということだからだ。特に自身の出生と父の死を描いた第一章と、母親の死に終わる終章は、ほ…

ほとんど評価されなかった、でも忘れられない3.11の前、数時間の話

2011年3月11日はもちろん鮮明な記憶がある。その日は国会の各党派の政策担当者に、デフレ脱却国民会議で国会内を歩いて説明。超党派議員で結集して、勝間さん、上念さん、僕、浅田さん、片岡さんらも一緒にまわって、ともかくデフレ脱却を世間に宣伝しようと…

世襲議員のなにが悪いのだろうか:再考

数年前にこんなエントリーを書いていたことをふと思い出した。 世襲議員をどんな理由で規制するのか?http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi20090417#p1世襲議員批判というのは民主党政権にかわる前あたりにブームだった。それで民主党が人気を得た部分も多…

「総供給側の改革」を否定したい一部論者の誤解

潜在GDPにまで現実のGDPが達してないから、「供給側の改革はするな」とか「供給側の改革をするとむしろ潜在GDPは低下する」という専門家がいて驚く。それは単なる「供給側の改革を否定したい思惑」だけがでている偏見でしかない。政策の割り当てが違うだけあ…

田中秀臣「アベノミクス2.0で デフレ脱却へ」in『Voice』4月号

上記論説を寄稿しました。よろしく一読のほどお願いいたします『Voice 』( PHP研究所 ) http://www.php.co.jp/magazine/voiceVOICE(ヴォイス) 2015年 04 月号 [雑誌]出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2015/03/10メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件)…

トークイベント:トマ・ピケティ『21世紀の資本』と日本:4月3日午後7時、稲葉振一郎、山本みずき、豊栄真紀(PIP)、田中秀臣

今年最大の経済書ベストセラー、トマ・ピケティの『21世紀の資本』の内容を初心者にもわかりやすく解説しながら、日本の問題と関連させて議論していきたいと思います。世代の違いもありますが、それぞれが関わっている分野がかなり違うのも今回のトークイベ…

アクセル・レイヨンフーヴッドの「回廊」モデル雑感

アクセル・レイヨンフーヴッドの「回廊」モデルの誤用になるかもしれないけど(笑 中央銀行と政府が政策的に協調してその枠組みの中でインフレ目標など中長期的な期待のアンカーを設定することは、レイヨンフーヴッドの「回廊」corridorを強化することになる…

江戸川乱歩とデフレ恐怖時代

今年は江戸川乱歩没後50年だが、乱歩といえば僕の若いころに出た松山巖氏の『乱歩と東京』はやはり衝撃的な著作だった。だがいま再読してみると、特に『二銭銅貨』をめぐる考察に瑕疵というか粗い議論がめにつく。『二銭銅貨』は1920年に構想がはじま…

動画&感想:古谷経衡『インターネットは、永遠にリアル社会を超えられない』発刊記念トークイベント

昨日は大変盛況でした。おいでいただいた観客の皆様、荻窪ベルサンのスタッフの皆さん、出版社の方々、そして出演者の方々に感謝いたします。ありがとうございました。 しかし司会進行を空井美友さん(そらちゃん)にお任せして本当に大正解でした。まさかの…

クズネッツと分裂ナショナリズム

サイモン・クズネッツの『戦後の経済成長』(原著1964年)をななめよみしているけど、当時の東西冷戦という文脈ではなく、クズネッツ自身は(分裂的な)ナショナリズムの伸長を警戒している。経済成長の成熟過程で、国民国家同士のナショナリズム的な対…

高橋洋一「GPIFに存在理由はない」(日本の解き方in夕刊フジ)

3月4日号。翌日にはネットにあがりますが、GPIFの存在理由がないことを高橋さんは明瞭に解説しています。理由) 運用リスクが増加しても給付額に大差はない。せいぜい年金運営の流動性確保程度で10兆円あればいい(現時点は100兆円以上の積立金保有)。わざ…

古谷経衡『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』メモ

一気に読破。主張はきわめて明瞭で、いくつかの事例を参照にしながら、インターネット社会の反応を「氷山の一角」としてとらえる見方を批判し、他方でむしろネットとはいまだ「亀の甲羅」「島宇宙のひとつ」「クラスタのひとつ」でしかないと捉える。 具体例…

児童労働とゴッセンの経済学 (田中秀臣)

『電気と工事』より転載。ノーベル平和賞がインドのカイラシュ・サティアルティに与えられた。児童労働への反対運動を評価されてのことだという。彼はインドだけでなく、世界各国で強制労働に直面していた児童8万人余りを解放したのだという。児童労働(5歳…