2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

安達誠司『恐慌脱出』(政策分析ネットワークシンクタンク賞受賞記念)

安達さんの『恐慌脱出』が政策分析ネットワークのシンクタンク賞を受賞されましたので記念に、同書の内容を今一度振り返りたいと思います。 本書の目的は、戦前の「恐慌型不況」を参考に、今日の世界的な経済危機への対処の仕方を学ぶという歴史的アプローチ…

松尾匡『図解雑学 マルクス経済学』

ナツメ社の営業力のせいか、本当にどうということのない本屋に池上彰氏の本と並んで置いてあったw 松尾さんの新刊。さすがにこの種の本は送ってくれないだろうからw 自分で購入。 なんといっても図表化されているのでわかりやすい。マルクス経済学は図表化…

アジット・K・ダスグプタ『ガンディーの経済学』

訳者のお一人太子堂正弥さんから頂戴しました。ありがとうございます。この本は原書が出たときに読みました。なぜ、田中がガンディーをといわれるでしょうが、この原書が出た90年代に『アダム・スミスの失敗』という人間主義的経済学を標榜する人の著作を訳…

特集「猫」『ユリイカ』11月号

すごいね、ユリイカw 猫特集。頂戴しました。ありがとうございます。猫マンガ、猫マンガのブックガイド、各種寄稿者の思い入れたっぷりな寄稿で構成された、まか不思議な猫の特集本になっていますw また猫にふれた文豪たちのアンソロジーや、また文学ガイ…

『民主党 無策政権の400日』

「雇用不況とデフレ」という論説を寄稿しました。二年ぐらい前に書いた『雇用大崩壊』の2010年版のようなものかと思います。またピーター・ダイヤモンドらのノーベル経済学賞での貢献を利用して、民主党の政策を批判的に検証もしています。あまりそのような…

馬のウンコの経済学

このブログの一貫した影のテーマがある。それはウンコとトイレの経済学というものだw。本書はそのウンコとトイレという人類の前者は必然、後者はテクノロジーの結晶について、またもや希少な貢献をしていることで必読の文献である。他にもいろいろ面白い話…

遠藤誉「中国の若者はいま」(明治大学国際日本学部特別講義)

名著『中国動漫新人類』や、このブログでうっかり紹介し忘れた『拝金社会主義中国』などで著名な遠藤誉氏による明治大学での特別講義。一般の人も参加可能なので、これはぜひいってみたい。80年代以降生まれの中国の若い人たちに日常的にたぶん国内でも屈指…

栗原裕一郎(企画監修著)『村上春樹を音楽で読み解く』

村上春樹は好きだ。70年代に雑誌に登場したときは本当に「衝撃」だった。なんで「」をつけたかというとそういう「衝撃」という言葉は当時、村上春樹の作品を読んだときには決して使わない言葉だっただろうから。僕が村上作品から70年代に受けた感覚はもっと…

ナシーム・ニコラス・タレブ『強さと脆さ』

11月末に出る予定の『ブラックスワン』の続編ともいえる著作を一足早く版元から見本を見せていただいた。ありがとうございます。しかし同時に見本二冊、本物二冊と計四冊も送っていただいたルビーニの『大いなる不安定』が面白そうなのに対して、残念ながら…

若田部昌澄の経済学

以下の原稿は雑誌『自由思想』に寄稿予定の「若田部昌澄さんの人と仕事」の一部分の草稿である。引用されるときは『自由思想』本誌のものをお願いしたい。ーーー 1 はじめに 「日本経済が実際にどういう状態にあるのか、あるいは病態にあるのかという臨床的…

キングダム・カム

おそらくオールタイムアメコミを投票すればかならず上位に入ってくるだろう名作が豪華愛蔵版で登場するとは! ある種、狂気の企画である。これは誉め言葉でいっているのだが、僕はこの狂気の企画の実現を今日一日堪能させてもらった。原書にはついていない(…

上念司『日本は破産しない!』

日本政府の負債ゆえ「国家破産」を唱えるさまざまな妄説のたぐいをわかりやすく論駁していて一気に読める。日本がアルゼンチンやギリシャのように「財政破たん」するという論者には、アルゼンチンとギリシャの経済体制の違いから詳細に語りおこし、その認識…

「社会的還元」を果たしていないのは文部科学省ではないか?

文科省は奨学金貸与にボランティアを義務付けるらしい。 この三流官庁にはほとほと呆れた。社会的還元の意識って…そもそも教育に奨学金を与えるベースは、その教育が社会的還元だから。まじめに学業やることで社会的還元は果たしているといえる。 新たに奨学…

『バットマン:アーカム・アサイラム』&『ヘルボーイ:壱&弐』

小学館集英社プロダクションの海外コミックでの活躍が止まらない。アマゾンなどの古書では高額で取引されていたアーカム・アサイラムがまさかの復刊である。このマニアックなエピソードは、映画版のバットマンの深みが多くの観客を得た今現在の方がより出版に…

最近読んだマンガ

ともかく驚いたのが、プルーストの『失われた時を求めて』の全体をたぶん世界で最も早くマンガにしたイースト・プレスの「まんがで読破」の『失われた時を求めて』。これは傑作。最近読んだマンガの中で最も気に入っている。このシリーズの『ユリシーズ』と…

雇用維持の成果はいかほど?

雇用調整助成金など現行政府の「雇用維持」政策についての評価としてはどんなものがあるのか、昨日の夜調べてみた。 一説だと雇用調整助成金を止めると失業率が9%以上に上がるという説もあるが、その中身(例えば現行の失業率の推測と違うもので評価するな…

デフレ脱却議連、日本銀行法改正案提出を確認

日本テレビニュースよりhttp://j.mp/9xdRTp 金子洋一議員のブログでのこの提言には賛成します。非常に簡潔に日本銀行の採るべき政策の方向性が書かれているのではないかと思います。 http://blog.guts-kaneko.com/2010/10/post_549.php

低インフレ、高い失業率の下でのインフレターゲット採用へ

明確にデフレ回避と失業率の低下を目論んだ、これからの(いままでもそうでしたが)日本経済の参考になるインフレターゲット政策の導入をFRBがいよいよ検討を終えて、その採用に踏み切るのではないか、とロイターが伝えています。 米FRB、雇用低迷でイン…

日本と米国のベバリッジ曲線(お絵かき)

クルーグマンがダイヤモンドについての記事http://econdays.net/?p=1569で米国のベバリッジ曲線を引用してたので、同時期の日本のベバリッジ曲線(00年Q4から09年Q4まで、欠員率(縦)と雇用失業率(横)の組合せ、それぞれ季節調整値)を試しに作図したら、…

アイケングリーン「通貨戦争を避ける方法」

アイケングリーン教授のすぐれた論説。これは必読!B_Eichengreen How to prevent a currency war: http://www.project-syndicate.org/commentary/eichengreen23/English 簡単に書くといま現在の通貨競争を避ける法j法はなにか? アイケングリーン教授は30…

内藤陽介『事情のある国の切手ほど面白い』

日本ではいまも尖閣諸島問題の話題は熱い。マスコミでも日常の会話でも頻繁に出てくる話題であろう。しかし日本だけではなくさまざまな国が領土問題を抱えている。なぜ領土問題が発生するか。その多くは国家の利害が存在するからであろう。ところで国家の利…