2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

河上肇賞募集中!

河上肇賞選考委員会から要請を受けたのでお知らせします。手元に眠れる原稿、論文の束やプランがある人はぜひ応募を http://www.fujiwara-shoten.co.jp/kawakami-prize/prize.htm 明治から昭和にかけて、経済学・文明論・思想・歴史から文学評論・時論まで、…

Beck:Everybody's Gotta Learn Sometimes

曲名・歌手名を死ぬほど憶えない習慣(たぶん生まれたときから)の持ち主なので公に備忘録公開しとけば絶対に記憶するインセンティブが付与されるのでこのエントリーを。曲に関しての情報も少し期待。これはいま起きたら聞こえた音楽。映画も好きだった。全…

上野泰也『デフレは終わらない』

詳細な感想はecon-economeさんのと大して変わらないので、ここ(特に追記の部分)を参照されたし。 ただ最初の「デフレは終わらない」の章は名前や名称もでてこないけれども、クルーグマンの流動性の罠論文や『恐慌の罠』におさめられたデフレ観そのものを、…

福岡正夫『ゼミナール経済学入門』を18年ぶりに買うの巻

というわけで2000年第3版を購入。前回購入したのが90年の第2版のときで記憶が間違えてなければこの第2版を使って大学院の修士課程を受験したと思う。このテキストのいいところは、経済学史(経済思想史)や経済発展論や一部労働経済学系など応用分野の人…

一発屋の経済学

主に芸術家における二つのキャリア形成(一発屋=早咲き型と大器晩成型)を理論・実証的に考察した著作。芸術家個別の活動を経済学的に分析する手法があまり一般的でないだけにかなり希少価値のある貢献。実はアイドルの経済学ネタで準備したまま放置してい…

野口悠紀雄『戦後日本経済史』

野口氏の1940年体制論は、歴史的、方法論的、経済学的なさまざまな根源的な批判に晒されているにもかかわらずその支持者が耐えることはない。ひとつには官僚支配=社会主義国日本=旧弊打破 といった図式が勧善懲悪的にわかりやすいのだろう。 戦後日本経済…

一本スジの通った「複素経済学」を学ぶために

最近、ちまた(ネット)で流行るものといえば、栗原裕一郎さんも注目しているトレンドがあります*1。 いまニセ経済学が熱い http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/20080421#1208763350 :優柔不断はダメダメ!メディアはもっと毅然としなきゃ!!いろいろな意味で…

漢奸問題の読書

映画『ラスト、コーション』を観てから、なんとはなく日中戦争期の日本の総合雑誌、新聞などの論壇の論調と、上海や北京での中国人知識人の発言を比較対照して時系列的に分析できないか、その過程で昭和研究会などに結集した日本の知識人の発言の意味をもう…

ドラッカーと大河内一男、民営化とナチス

昨日出席した研究会で、ピーター・ドラッカーの処女作『経済人の終り』と、それを意識していた大河内一男(『スミスとリスト』の附論での「経済人の終焉」)との類似と相違という論点は、両者の自己利益最大化=合理性に対する批判として読むと興味深く、他…

ハイエク晩年の進化と自生的秩序についての考察

吉野裕介氏(京都大学大学院経済学研究科)による「ハイエク『致命的な思い上がり』の成立過程に関する一試論――「進化と自生的秩序」メモを中心に――」は、ハイエクの最晩年の著作『致命的な思い上がり』をめぐる重要な実証的研究。またハイエクの思想の核心…

新訳・ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』

高橋洋一教授の、善悪二元論ぽい価値観とプラグマティスト的な発想(いま使えるフリードマンの主張を簡潔に紹介)に満ち満ちた解説つき。それはそれで面白い。訳は最初だけ読んだ感じではこなれている感じかな。 資本主義と自由 (日経BPクラシックス)作者: …

出生別所得でみた世界

いろんなところで評判のペーパーから。在住地基準の一人当たり所得ではなく、出生地基準の所得でみると、移民こそ経済発展そのものであることがわかるという論文。日本は通念では移民受け入れの制限が厳しいから、発展途上国の経済発展に貢献するところ少な…

祝!90万アクセス突破記念ヴァージョン:おまえがゾンビだ、の経済学

しかしアルファブロガー系の人たちの一部は本当に清算主義的なゾンビ経済学がお好きですね。 例えばまとめ的には「週刊 木村剛」http://kimuratakeshi.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_26a0.htmlの発言でしょうか(そこに紹介されているいくつかのアル…

「北半球で最も美しくかつ興味深い研究を行っている経済学者」と眼鏡っ子未来経済学(?)

mixiで話題沸騰とか。 シカゴ大学ビジネススクールのVeronica Guerrieri助教授をご紹介します。 http://www.chicagogsb.edu/faculty/bio.aspx?person_id=933341 http://faculty.chicagogsb.edu/veronica.guerrieri/ 専攻は、ナイスな(意味不明)マクロ経済…

鉄腕アトムvs移民

将来の人口減少。それによる生産力人口の減少をどう補うか? ロイターの記事では日本は、移民を大量に受け入れるよりも、ロボットで特に未熟練労働者の不足(2025年で350万人の穴埋め)を補う方向であるとしている。Robots seen doing work of 3.5 million i…

サブカルチャーの経済学マイナス1:m9(^Д^)プギャー

前も少し書いたけれども韓流好きが、なんの因果か知らないけれども、嫌韓流の本家でちょっとした連載持ちました(このミスマッチ?具合が妙にうれしい)。もうそろそろ出るみたい。ここのブログの文体ほぼそのまんま移植してみました。いつまで続くかわから…

自己欺瞞、「多様な私」、カルト、万国の労働者よコマ漫画を描け

手の内さらすようなものだけども(っていったいコミックやメディア研究者のうち何人がここ見てる? 笑)、いま関心のあるコミックネタはほぼふたつに絞られていて、ひとつはカートゥーン(cartoon)研究、特に労働者の風刺もの。これは戦前日本のものも対象に…

IMFのデカップリングについての見解

Regional Economic Outlook Reportsの4月版。これは講義の種本のひとつ。デカップリング(アメリカの経済危機はアジア経済圏とは無縁)かどうかについてのIMFの見解は以下。 日本語要約より :本REO の第2 章は、過去15 年にわたる米国からアジアへの波及…

谷弘兒『無国籍哀歌 錆びた拳銃』

おお!ついに新単行本でる! 生きててよかった! 谷弘兒の作品は傑作『薔薇と拳銃』をいまから20年近く前に読んでいたく衝撃をうけ、いまでも研究室の必備品として一年に一回は読んでいるというお気に入り。もうまとまった形では新作を読むことはないのでは…

猪木武徳編著『戦間期日本の社会集団とネットワーク デモクラシーと中間団体』とトクヴィル

武藤さんからご恵贈いただきました。ありがとうございます。すでに同書の武藤さんの論説「戦間期日本における知識集団ー黎明会を中心に」については少しだけ当ブログで言及させていただきましたが、今後の福田徳三研究に活かさせていただければと思います。…

エクセルで統計処理していたあの頃

ゼミ生にあまり負担をかけないで(原則ゼミの時間内ですべて終わらせること)、なおかつ得るものマックス(実際に役立つ)という制約をどうみたすのか、そればっかり考えていたわけですが。講義の方ではなるべくテキストや教科書を購入しなくてもすむ用に自…

アク禁の本

これ注文してたの? 届いたけれども読む暇ゼロ Access Denied: The Practice and Policy of Global Internet Filtering (Information Revolution and Global Politics)作者: Ronald Deibert,John Palfrey,Rafal Rohozinski,Jonathan Zittrain,Janice Gross S…

ファン・ビンビンと天安門事件20周年マイナス一年

梶ピエールさん経由。http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20080413/p1 げ! もう20年も経つのか。すると「バブル」20周年も近いということか。ゾ〜。 しかし梶ピエールさんにファン・ビンビンネタをふられて再確認したけれども、旧ブログを全部削除したのはやは…

愛されてる増田悦佐、『と学会年鑑AQUA』

去年でかけたと学会大会の記録。そういえばそこで女性誌から取材うけたけれどもチェックするの忘れてたなあ。まあ、この話題も思い出せばすでに足掛け三年目(まるまる二年以上経過)に突入。この論争の経緯について以下を参照ください、と書くのも面倒です…

柳澤治『戦前・戦時日本の経済思想とナチズム』の意義

献本いただきました。このようなきわめて意義があり、また高価な著作を頂き恐縮です。すでに当ブログでも紹介させていただきましたが、この著作は日本の戦前・戦時期の経済学のあり方や政策、海外の思潮との関連をみるときに今後外すことができない基本文献…

Imperfect common knowledgeと中央銀行の透明性、最適な金融政策

昨日頂いたさとるさんのコメントから、あまりこの種のテーマはいまいち気乗りしなかったんだけども、それでも以下のペーパーは最新だし、いまの日本の状況(noisy public signal、deflationary bias etc)を考えたときに重要かもしれないのでメモとして。講…

備忘録

山形さんのところでBionic Womanのことを知った。米アマゾンで安価にダウンロードできる、と思ったら米国在留が条件だって。涙。 (付記)なんか知らんけれども個人的な性向だと思うんだけれども「戦うヒロイン」系に関心を持つというのが僕の傾向みたいで …

他力本願の経済学、75年以上前も今も変わらず‥‥『漫談経済学』再読

ネームバリューでは大差をつけられているが、それでも自分のやっている立ち位置(批判的で、諧謔的、そして憎まれっ子的な点)はやはりこの人に近いのかもしれないなあ、と以前から思っている小汀利得(当時中外新報経済部部長)。彼の代表作の一つである『…

無我の経済学読書リスト

ところで上の釈氏の本に関連してですが、そもそも日本経済思想史と宗教的心情との接点は大きく、僕も研究した三木清(この本で検討しました)、河上肇はいうまでもなく、例えばかって早稲田大学の経済学史研究の歴史を何気に勉強してまして、そこで二木保幾…

釈徹宗『いきなりはじめる仏教生活』

献本いただく、どうもありがとうございます。あと2週間あまりで次回作を脱稿せねばならぬので読む時間が割けませんが、田中は特になんの宗教にも帰依も支持もしてはいないのですが、なんのめぐり合わせか、それとなく「無我の経済学」を長期的な研究プラン…