詳細な感想はecon-economeさんのと大して変わらないので、ここ(特に追記の部分)を参照されたし。
ただ最初の「デフレは終わらない」の章は名前や名称もでてこないけれども、クルーグマンの流動性の罠論文や『恐慌の罠』におさめられたデフレ観そのものを、今日(08年)ヴァージョンで読み直したもので面白い。上野さんが「構造的」なデフレといっているのはそういう趣旨でしょう。他にも同じ章にこれまた名称はでてこないが、景気上昇→賃金上昇の困難性というのも、その批判する先は例の「日本銀行のダム論」のロジックそのもの。これまた08年ヴァージョンとして興味深く読める。
- 作者: 上野泰也
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/04
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これ最近ある編集者の人とも話したけれども、『エコノミストミシュラン』を編著者のみんなと作成したときに、落合女史が作成したエコノミスト分布図というのを付録でつけました。この分布図で描いた当時活躍していたエコノミストたちの勢力が、ここ1,2年で劇的に変化しているのではないか、ということが話題になったのです。もちろんあそこの図でとりあげた人たちは等しくご存命で活躍されてはいますが、それでもその活躍の度合いやら活躍している分野の移動(例えば経済評論から経営指南に変化した人など)、また新人現るの度合いなどもかなりここ1,2年で異なるものになった、というのは僕も率直に思うところ。その代表のひとりとして上野さんを挙げることができるのではないか、と思います。