IMFのデカップリングについての見解


 Regional Economic Outlook Reportsの4月版。これは講義の種本のひとつ。デカップリング(アメリカの経済危機はアジア経済圏とは無縁)かどうかについてのIMFの見解は以下。


 日本語要約より
:本REO の第2 章は、過去15 年にわたる米国からアジアへの波及効果を分析して、両者の
デカップリングの問題を検証している。それによると、アジアはデカップリングしておら
ず、波及効果は大きい可能性があると結論づけている。これまでの例では、波及効果は、
アジアの新興市場国では平均して緩やかで、米国の1%ポイントの減速が平均0.25〜0.5%
ポイントの減速をもたらす程度にとどまっているが(日本への波及はこの範囲の下限程度)、
現在の米国の景気減速がこれより相当大きな影響を及ぼすと考えられる理由がある。なか
でも米国からの波及効果はここ数年、特に中国に対しては明らかに拡大しているほか、金
融面での波及と世界的な心理効果(現時点でともに作用していることは明らか)が波及の
規模を大幅に拡大させる可能性がある。2001 年のハイテク・バブル崩壊による景気後退の
事例は、米国の成長減速によるアジアへの影響が相当なものになりうることをよく示して
いる。:


 講義の種本として利用しているのは今年は次の二冊。もちろんそのままでは使わないけど(使えたらどんなに楽だろうか 笑)。


 これは出版年がちょっと古くてその後改訂されていないけれども理論的なところは全然オッケ。トダロの方よりもこちらの方が僕にはなじみやすい。


Development Economics

Development Economics


 あともう一冊はこの『スポーツの経済学』のテキスト。以前にFellow Travelerさんから教えて頂いたのを今年は講義のベースのひとつとして利用してみようかなと思っている。本書は機会費用、比較優位、需要供給などの基本コンセプトの解説からはじまり全部を読むと初級のミクロ経済学の基礎をすべて学べるように構成されているすぐれもの。


Economics of Sports, The (2nd Edition) (The Addison-Wesley Series in Economics)

Economics of Sports, The (2nd Edition) (The Addison-Wesley Series in Economics)


 他には中島隆信『大相撲の経済学』が便利なんだけれども、おお、文庫版でも出てるのか。

大相撲の経済学 (ちくま文庫)

大相撲の経済学 (ちくま文庫)