2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

震災復興をめぐる財務省、日本銀行、官僚的政治家への批判(雑感)

Twitterで朝つぶやいたものをあまり直さず掲載。 FRBのPreventing Deflationという論文がある。昔、『エコノミスト』に部分訳と岡田さんの解説が収録されている。この論文はFRBが日本のデフレの経験に学んだとされるもの。いまも何度も読む価値がある。 この…

田中秀臣研究室の被災状況

大震災以来、はじめて研究室に入った。唖然。研究室は7階にあるのだが、地震のときにいたらどうなっていたのか? 呆然とする田中(ゼミ生写すw)たぶん研究室の机でいつものように作業していたら頭にシュムペーターの『経済分析の歴史』全巻が雪崩てきてし…

大震災の経済学/経済政策リンク集

暫定的に作ってみました(継続的に増やすつもり)。何かあればウェルカム。ただし復興にはまずは増税みたいな阿呆な議論は無視します。作成には乙丸益伸さんの助力もいただきました。田中秀臣2011-03-20「高橋亀吉&森垣淑『昭和金融恐慌史』と震災の経済史…

ももいろクローバーとトークバトル

ももいろクローバーの皆さんとトークバトルを行います。『ももクロChan』Presents ももクロ試練の七番勝負の二番目4月12日に登場予定です。どうかよろしく! 『ももいろクローバーの経済学』を話せる(話して挑戦?)するのが楽しみですwhttp://www.momo…

高橋亀吉&森垣淑『昭和金融恐慌史』と震災の経済史

昨日の未明にTwitterで書いたことを整理して掲載。 さて高橋亀吉と森垣淑『昭和金融恐慌史』(講談社学術文庫)は、容易に入手可能なので読んでいただきたいが、そこには関東大震災の与えた影響が克明に描かれている。日本経済への打撃は、(原発問題自体の…

『週刊 ダイヤモンド』で拙著『AKB48の経済学』の書評

月曜日に発売されていた『週刊ダイヤモンド』に拙著『AKB48の経済学』の書評が掲載されています。正直、まったく経済雑誌を読む余裕もない一週間でした。評者は笹井裕子氏(エンターテインメント・アナリスト)で、「AKB48のブレークを生んだデフレ不況ネイ…

日本銀行、「復興国債」10兆円直接引き受けへ!?

産経ニュースから【東日本大震災】10兆円規模「復興国債」発行へ 全額日銀が引き受け」 http://t.co/rWssQrrまだまだどうなるかわかりませんが、報道の通りすすむことは、復興政策とデフレ脱却とが矛盾しないことを明らかにすることからもいまの日本に求め…

円高阻止へ、G7緊急声明で「介入容認」へ!?

今日の日本経済新聞一面より。すでに日本経済が強いから「円高」になるという俗説にはピリオドがうたれました。円高がこれ以上加速することは、日本の経済に致命的な打撃になり、それが今回の大震災・原発問題とともに、世界経済の大きな不安定要因になるこ…

復興の経済学ー関東大震災の経済学者たちー

以下は近刊予定の『福田徳三論』から一部分を抜粋したもの。前後の文脈に依存している箇所がありわかりにくいところもあるだろうけどそこはお許しを。ーーー 厚生経済への移行過程ー復興の経済学ー 1923年(大正12年)9月1日、関東地方を中心にマグネチュー…

『バットマン:マッドラブ/ハーレイ&アイビー 』

長く入手困難でプレミアがついていた同書の新装版です。あの悪名高いジョーカーを愛してしまった女、そして彼女にふりまわされるジョーカー、バットマン、そして彼女の友人? とのバットマンものの中でもすっきり気分よく読める快作です。 ところでshoproの…

小峯敦編著『経済思想のなかの貧困・福祉ー近現代の日英における「経世済民」論ー』

編者の小峯さん、著者の太子堂正称さんから頂戴しました。ありがとうございます。経済思想の中での「貧困」「福祉」についての考え方を、スミス、マルサス、マルクス、ハイエク、ブレア、太宰春台、中井竹山、高田保馬らの見解と通して通史的に考察する論文…

デフレ脱却国民会議と有志各党議員による国会での各政党への陳情

すでにご報告しましたが、11日午前、デフレ脱却国民会議の勝間和代さんを中心に、呼びかけ人、有志各党議員(民社党、自民党、みんなの党総計20名)で、国会において、各政党の政調会長、政調会長代理(共産党は国対委員長)に、日本銀行法改正、デフレ脱却…

東北地方太平洋沖地震、リンク集

今回の大震災で被災された方々、またそのご関係の方々に心からお見舞い申し上げます。まだまったく事態の全貌がわからず、不安が募ることと思いますが、私も個人的にできることをこれからもしていき発言していくつもりです。以下は日ごろの仲間たちの情報か…

大震災を増税の口実にするのか?ー谷垣自民総裁臨時増税協議ー

Twitterで書いたものを掲載。谷垣自民総裁が「臨時」増税を民主党と協議しているという。【東日本大震災】臨時増税を協議へ、自民の谷垣総裁が明らかに - MSN産経ニュース http://htn.to/JKsYGt 財務省とその手先(谷垣、藤井、与謝野)は本当にひどいなあ。…

谷沢永一逝去、『高橋亀吉 エコノミストの気概』再考

谷沢永一氏がお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。文献考証的な面で僕の研究分野と接点があるいくつかの研究がありますが、やはり最も注目したものは、03年に出た『高橋亀吉 エコノミストの気概』です。以下ではこの著作の内容を振り返りたいと思…

『AKB48の経済学』重版

お知らせが遅れましたが『AKB48の経済学』重版いたします。店頭などで見かけなくなっていてご不便をおかけしています。引き続きよろしくお願いいたします。AKB48の経済学作者: 田中秀臣出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2010/12/07メディア: 単行…

日本銀行法改正のためのデフレ脱却国民会議の陳情行動と記者会見

明日の早朝から、勝間和代さんを中心に、デフレ脱却国民会議の呼びかけ人、与野党の議員の方々らと、各党に、日本銀行改正の陳情行動を行います。中川秀直議員のホームページより http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10826706713.html頑張ります。デフ…

日本銀行審議委員候補の白井さゆり(白井早由里)氏はデフレ支持ではないか?

昨日のエントリーでは、日本銀行審議委員候補の選出がいわゆる「女性枠」の継続であること、その証左として女性であることに加えて、専門が必ずしも金融問題が専門ではない人物、少なくとも国内の金融問題についてはいままで発言がほとんどない人物を選出し…

ポール・クルーグマン『クルーグマンの国際経済学』

クルーグマンとオブズフェルドの両者の定番テキストなのに、なぜか題名は「クルーグマンの国際経済学」 笑。 最初の翻訳は購入したが、それからはまったく買っていない。なのでこの本を購入したのは20数年ぶりになる。最初の翻訳がいま手元にないので詳細に…

国債は将来世代への負担だ、と考える愚かな人たちに向けて(2022年12月10日改変版)

岩田規久男先生の『経済学的思考のすすめ』は素晴らしい本である。特に財政再建問題の中核がなんであるかを詳細に議論している。と同時に「素人経済学」の代表である辛坊兄弟の著作を徹底的に批判していることも特徴のひとつだ。 さて本書にはデフレ脱却問題…

国民の生活重視の人選よりも、単に官僚的な人事を繰り返すのか?:日本銀行審議委員の女性枠維持について

各種報道によると、白井早由里氏が須田美矢子委員の退任に伴い、次期審議委員の候補になるという。白井氏は欧州経済やIMF改革などについての業績をお持ちな方である。しかしいまの日本銀行の政策について、特に国民的な問題であるデフレ問題についてどう考え…

勝間和代『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』

デフレ脱却国民会議の懇親会の席上で頂戴しました。ありがとうございます。かなり評判で、なかなか近場の本屋で手に入れることができなかったので嬉しいかぎりです。 アカデミックスマート(学歴が高いとか試験の成績がいいとか)とストリートスマート(状況…

『AKB48の経済学』の書評

拙著『AKB48の経済学』の書評を森永卓郎さんに『週刊ポスト』(3月18日号)で書いていただけました。ありがとうございます。AKB48の経済学作者: 田中秀臣出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2010/12/07メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 186回こ…

経済問題をわかりやすく解説・論評。新しいメールマガジン

片岡剛士さんが書く新しいメールマガジン「Fhe Neo Economist」が今日創刊されました。なかなか盛りだくさんの内容で、しかも最後には首相宛の手紙つきという政策ベースの話もありとても野心的です。以下が公式サイトです。http://www.facebook.com/TheNeoEc…

上念司『「日本ダメ論」のウソ』

上念さんの最新作は、デフレ脱却を本気でしようとしない我が国の日本銀行への批判を中核にしながらも、日本の各所ででまわっている様々な俗説を論破していく痛快な本になっています。 ご本人も認めるように、今回は経済問題だけではなく、憲法問題、地政学的…

京大などカンニング事件雑感

上の岩田先生の『福澤諭吉に学ぶ思考の技術』を読まれてから、以下の議論を読んでもらいたい。Twitterでつぶやいたことを整除したもの。ーTwitterより カンニング事件だけど、仮に各大学が警察に届け出を出さないで内部調査でカンニングの実態を調査したら、…

岩田規久男『福澤諭吉に学ぶ思考の技術』

デフレ脱却をめぐる論争でしばしば目につくのは、岩田先生が冒頭で書いているように「些細な問題点や私の提案する政策を実施するにあたっての技術的な困難などを指摘して、私の議論のすべてを否定しようとするものが少なくな」く、「なかには、私の提案をす…

文化クラスターと「コスト病」

タイラー・コーエンの『創造的破壊』(2002)や『市場と文化的声』(2005)で援用されている概念に「文化クラスター」というものがある。「文化」+「クラスター」=文化クラスターであり、このクラスターという概念自体は、マイケル.E.ポーターによって一般…

岩田規久男『デフレと超円高』

今週水曜日(3月2日)に行われた『デフレと超円高』刊行を記念した講演会は盛況であり、また刺激的な内容であった。例えば第二部の岩田規久男先生と若田部昌澄さん、鈴木亘さんの三人に、飯田泰之さんが司会をつとめた鼎談は興味深い内容だったろう。 例えば…

西森路代『K-POPがアジアを制覇する』

K-POPに焦点をあわせてはいるが、日本、韓国を中核にしたアジアのアイドル市場の変化を描くことにも注意を払っている意欲的な著作だと思う。本書が特に精彩を放っているのは前半であり、例えば日本のアイドルと韓国のアイドルを比較した箇所はとても勉強にな…