デフレ脱却国民会議の懇親会の席上で頂戴しました。ありがとうございます。かなり評判で、なかなか近場の本屋で手に入れることができなかったので嬉しいかぎりです。
アカデミックスマート(学歴が高いとか試験の成績がいいとか)とストリートスマート(状況理解・判断能力がある、人の気持ちの機微がよくわかる、自立心が旺盛だが、独断的ではない)とが対比され、本書の中心テーマである「頭がいい人」の秘密とは、後者のストリートスマートの特徴を解明することでもあります。
このストリートスマートになれるコツは後天的に習得が可能ですが、日本の社会制度はそれを阻むものであるというのが勝間さんの批判的は視点にもなっていますね。そしてこのストリートスマートな人たちを実例で何人もあげて(ほとんどは勝間さんが実際に交友がある人たち)、その特徴と、どうすればそのような特徴をいまからでも体得できるかを説明しています。その特徴をすべて7という数字できって、習慣、スキル、視点、方法の順に解説していきます。
面白いなと思ったのが、「ベクトル数学」に強いという部分でした。これは僕らは大学院生のときに「線形感覚」と仲間内で称していた言葉です。例えば経済モデルを線形空間の中でイメージできるとか(二階堂のテキストとか読むとそんな感覚を得ることができるでしょう)。
あと勝間さんがドラエモンが好きだと公言しているからよく(たぶんそんなに好きでもない)ドラ焼きをよくおみやげにもらうという箇所から始まる、ドラ焼きの分析も面白いですね。
全体的に小ネタが充実していて、それに僕は反応してしまいます。ただ全体的にいえるのは、ストリートスマートな人たちは先ほどの「線形感覚」とか「ベクトル数学」に強いとかに代表されますが、物事を抽象化・概念化したり数値化してとらえる習慣とスキルと方法に留意し、日頃からの鍛錬をかかさない人たちではないか、ということです。
ところでいままでの人生で会った最も「頭のいい人」は誰だったろうか? と素朴に思いますが、みなさんは誰でしょうか?

高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人 (小学館101新書)
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 小学館
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ところでこの本を読んでいて、ふとその昔、塩沢由典氏がすすめていた『反秀才論』を思い出した。読まずに積読してあるのでそのうち読もう。

- 作者: 柘植俊一
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