日本銀行審議委員候補の白井さゆり(白井早由里)氏はデフレ支持ではないか?

 昨日のエントリーでは、日本銀行審議委員候補の選出がいわゆる「女性枠」の継続であること、その証左として女性であることに加えて、専門が必ずしも金融問題が専門ではない人物、少なくとも国内の金融問題についてはいままで発言がほとんどない人物を選出してきた。これは国民の生活よりも官僚の前例踏襲主義の産物であり、人選を実際に牛耳っている日銀当局と藤井官房副長官はまったく国民の利害を無視している。

 さらにkeiseisaiminさんの日記まとめられているが、白井氏は事実上のデフレ支持である。このような人物が、デフレを克服することを目的にしている現政権もしくは日本にとっても明らかに矛盾するし、問題でもある。厳しくこの人選と白井氏自身にも問うべきことだと思う。

keiseisaiminさんの日記
白井早由里(白井さゆり)の「円はまだ安い」=デフレは良いことだ http://d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20110309

以下の引用は、keiseisaiminさんのところを利用させてんもらいます。

岩田規久男教授の「デフレと超円高」より引用(P62)

実質実効為替レートは輸出産業の競争力を表すという考え方から、10年9月の実質実効為替レートは90年1月とほぼ同じであるから、 10年9月現在の状況は円高ではない、という主張がある。しかし、 10年9月の実質実効為替レートが90年1月とにぼ同じであるのは、世界中の国がインフレであるのに対して、日本だけがデフレで、物価が下がり続けているからである。したがって、「10年4月から9月にかけての実質実効為替レートの急騰は円高ではない」と主張するのであれば、それは「デフレはよい」、あるいは少なくとも「デフレは間題ではない」といっているに等しい。

白井ゆかり氏の発言

―――各国の実質実効為替レートから2000を100とするとどういうことがわかるのか

まず日本の円に注目したいんですけど、確かに最近は上昇していますので円高傾向にあるのですけれども、10年前に比べますとまだまだ円高の余地があると思いますね。特に歴史的水準からみると円はさほど高くないという風に海外の方が指摘するのはこういうトレンドをみてとのことなんですね

―――そういう観点からIMFは今の円の水準は適切、受け入れ態勢でもいいんじゃないかとなるのですか

そうです。今の円高でも国際価格競争力を特に減らしているわけではないという判断ですね。むしろユーロのほうが今まで高すぎた。それが今下がってきて適性に近くなってきているという見方ですよね。

現状の円高が適正水準であることを支持しているということは裏返せば単なるデフレ支持論者である。もちろん国内の金融政策には白井氏はコミットしていない。単に専門外だからだ。専門外で、デフレ支持。これだけでも十分不適格だと僕は思う。

まともな政治家の方々はデフレ脱却を本当に空手形ではなく実効するのならばこの人選を拒否すべきである。これができないようでは日本銀行法改正もまたデフレ脱却もただのほら話としてその政治家は口にしているだけである。もちろんデフレ脱却さえ問題意識のない政治家は論外だと思う。

(付記)ちなみに白井氏とは数年前、あくまで酒席でだがとなり合い、非伝統的金融政策について話したことがあるが、まったく理解してもいなかったし、支持もしていなかったという疑念をいまだに払拭できない。しかも上記のように彼女の発言からは事実上のデフレ支持と解釈できる発言がある。
 もし与野党ヒアリングが行われるならば、彼女の非伝統的金融政策の効果と今後とるべき政策スタンス、さらには上記のデフレ支持と読みとれる発言との整合性、そもそも専門家ではないのになぜ候補を決意したのか、などを問うべきだ。また日本の金融政策、デフレ問題についての従来の発言や論文なども提出させるべきであり、それがないときは単なる門外漢としてその人選を拒否すべきであろう。これは冗談ではなく、日本の最重要の人選のひとつであり、「専門外ですがこれから勉強します」などというしゃれは通用しない。