2007-01-01から1年間の記事一覧

正直な一行感想のコーナー

誰も経済系ではいわないようだけど、正直なところ。 グリーン・スパンの『波乱の時代』って分厚いわりに中味がぜんぜんなくて、つまんなくない? 波乱の時代(上)作者: アラングリーンスパン,山岡洋一/高遠裕子出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 20…

 研究関係で読んで面白かったもの

最近、再読したのも含めると、まずシリーズがまとめて復刊したUP選書の一冊。生前は何回かお目にかかりお話をしたこともある古田光先生の名著。『河上肇』。河上の宗教観が信心ではなく倫理的なものであることを喝破し、また『貧乏物語』の思想史的な位置取…

本音で語れ! 年間裏ベスト2007

例年より早いですが、時間のあるいまのうちにということで。2006年はこんな感じでした。2005年の方が面白かったのですが管理大変なので削除してしまいました、スマソ。 以下、順不同で 第1位 と学会『トンデモ本の世界U』にオレ田中登場(笑) アメコミで…

経済セミナー最新号、経済思想特集

定期購読も定期立ち読みも(笑)、同誌についてはしてないのでうっかりしてまして、まだおまけに未見ですが、なんでも若田部昌澄さん、小峯敦さん、竹森俊平さん、野口旭さん、松尾匡さん、そして経済思想なのにw 飯田さんまで登場とのことです。この面子で…

価値多元社会に関わる論点

これは東京河上会でも書いた話題(http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi-ver2/20070916/1189876824)ですが、生存権の経済学的基礎を考えていくと価値多元な討議の過程を論じていかないと研究が先にすすめないと思うのですが、そのうちに価値多元的な空間(…

江川達也『“全身漫画”家』&毒虫小僧

江川氏の本はなかなか興味深い。この本の中で『ど根性ガエル』の舞台が東京の下町で、石神井あたりでは? と書かれているのはいいところ突いているw なぜなら『ど根性ガエル』の作者が『少年ジャンプ』連載当時に住んでいたところは、僕が小学生のころに家…

中川右介『松田聖子と中森明菜』

これを新書でしかもこの厚み。すごいなあ。ということで感銘して衝動買い。松田聖子の陰に中山圭子あり、とか知らない話もあったり昔を思い出させる話もあり、なかなか読ませる。 松田聖子と中森明菜 (幻冬舎新書)作者: 中川右介出版社/メーカー: 幻冬舎発売…

労働政策研究・研修機構(JILPT)廃止・存続まとめサイト

岡本真さんが「ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版」で労働政策研究・研修機構(JILPT)についてのネットでの簡単なリンク集を構築していただいてます。この問題をネットベースで考えるときのヒントになると思いますのでご紹介。http://d.hatena.ne.j…

 河野哲也『善悪は実在するか』

以前、「生存権の経済学基礎」についてのエントリーのコメント欄で、でSPA!さんにご教示いただいた、河野哲也『善悪は実在するか』(講談社)を読みました。なるほど、これは僕の考えてる経済学の政策評価の基礎付けとして非常に示唆的です。事実と価値…

労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2007』

同機構について書いてたら急にこれだけはほしくなったので購入。便利。 データブック国際労働比較〈2007年版〉作者: 労働政策研究研修機構,労働政策研究・研修機構=出版社/メーカー: 労働政策研究研修機構発売日: 2007/03メディア: 単行本 クリック: 2回この…

「過去の経済学者の主張の誤用」はどのくらい深刻か?

昨日の経済学史学会関東部会での話題。この本(『市場社会とは何か―ヴィジョンとデザイン』)の趣旨のひとつは、過去の経済学者の発言をいまの経済理論家たちが誤用していることで経済理論のあり方も歪んでいる、それを正す参照軸を提起するということでした…

 イアン・エアーズ(山形浩生訳)『その数学が戦略を決める』

山形さんの新訳。近所の本屋で少し立ち読み。一昨日アマゾンで注文したけどまだ来ないなあ。宮川公男先生の『統計学でリスクと向き合う』の改訂版もでているし、統計学本ブームがくるかもしれない。感想は読んだら書きますね。 その数学が戦略を決める作者: …

経済学史学会関東部会にいった。22日に研究会の告知も

ついぼろっと、経済学史家既得権説を開陳したら波紋をジョジョなみに起こしてしまったのかもしれない 笑。しかしいつから経済学史家は「経済のヴィジョン」を提供するのが役目などと誇大妄想(既得権の実際の中身のひとつ)を抱くようになってしまったんだろ…

 コアCPIプラス、FRB利下げ観測濃厚、日銀は金利上げモード放棄が最善

コアCPIがほんのわずかプラスになったことが、すべて日本銀行の金利上げモードへの貢献「だけ」で評価される不幸な日本であるわけですが。それと「生活実感」からの恐怖をこのコアCPIのプラス転換になんとか読み取ろうという必死の努力も伺えるメディアの報…

雇用・能力開発機構の廃止・民営化にも賛成

本音をいえば全面廃止が妥当だとこれも思ってますが。昨日か一昨日の報道では例の「私のしごと館」だけピンポイント的に対象となっていたみたいですが、すべてが民営化の対象になりそうなのはいい流れだと思います。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071…

労働政策研究・研修機構廃止へ

若林亜紀さんのブログにあるようにまだ巻き返しがあるでしょうが、基本的な動きには賛成しています。しかしどの独法を廃止するかいったんだしてひっこめるなど迷走しているところが過去の小泉、安部政権と今回の福田政権との対照的なものですねえ。 http://s…

2007年経済書ベスト10

最近は漫画サイト化している当ブログですが(ええ、研究が佳境なのでさらにそうなってます、と言い訳)、本家?に戻って今年度の経済書ベスト10を選んでみました。 1 藤井良広『金融NPO』(岩波書店) 藤井先生の足で稼いだルポは興味深く、また私の個人的…

 『週刊現代』で怒りのコメント

現在、店頭に並んでいる『週刊現代』の「虎の子ボーナスを「守って殖やす」“大逆境”マネープラン!」で田中、日本銀行に“怒りのコメント”が掲載されてますのでお読みいただければ、と。

新井英樹『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』

NHKで今日やってたらしいけれども、講義資料に使いたい ジャ・ジャンクーの『青の稲妻』を観ているのでスルー。しかしこの新井の作品は連載を欠かさず読んで、もし漫画のオールタイムベストを選ぶならば20本ぐらいのひとつには必ず入るだろう傑作ですよね。…

漫画オールタイムベスト30(作成中)

カココミやったり、新井英樹作品のエントリーを書いたら急に自分のいままで読んだ漫画のベスト30を帰りの車中で思い出してみた。皆さんはどうですか? コメントは作成中なので30作の題名だけ。全体の傾向で少年漫画(男原理中心ぽい)、無常や絶滅がすき 笑…

 中国は「バブル」なのか?

やはり「バブル」は崩壊してみないとわからない。Baatarismさんの最新エントリーを読んでいての感想なんですが、キーポイントはインフレ率にあると思います。原田泰さんが以前書いたことですが、いわゆる北京オリンピック後の不況があるのか否か、それがある…

プランゲ文庫と漫画

ふと漫画はどうなのか、と思い立ったのだけれども、すでにいくつか業績や報告がでていたのでご紹介。 プランゲ文庫とは http://www.lib.umd.edu/prange/html/introduction.jsp プランゲ文庫のデータベース http://prangedb.kicx.jp/login プランゲ文庫のソー…

労働政策研究・研修機構は廃止か業務ほぼゼロが妥当

下は一部の経済学者たちが提起した要望書批判の文脈で考えたものです。 政策の基礎となる研究や統計調査は厚労省内部か委託研究が妥当でしょう。なんで独立行政法人を別に設置してそこで行うのか理由がいっさい見当たりません。経済学者たちが書いた要望書の…

上野泰也『週刊エコノミスト』論説&加藤出『ダイヤモンド』論説

上野論説「FRB利下げ「出し渋り」の錯誤」はサブプライム問題関係では必読。僕はどこかで書いたけれどもFRBが市場の予想を裏切るほどのペースで利下げを敢行して4%を切るまで継続していくのが望ましいと考えてます。その意味で「インフレ懸念」というFRBの…

神でした 笑)

カココミをやってみた。http://kakocomi.comicpark.net/index 神ですた。笑。 http://kakocomi.comicpark.net/result/49e67d7f97752c05 いまでも高速のパーキングとか、日付変わってあえてwよるコンビニでの立ち読みなどで結構こまめによんでますね。雑誌は…

レッシグ:Code2.0

大屋雄裕氏の『自由とは何か』で示唆をうけて、いわゆる絶対的貧困にかかわる論点としてのアーキテクチャ論を「生存権の経済学」の中で考えているわけでして、遅れてますがレッシグの1.0の方は最近読みました。 検索したら2.0が出てたので購入したのですが、…

奥野満里子『シジウィックと現代功利主義』

研究のための読書。前半が砂をかむような原典の詳細な記述(おそらく普通はここで挫折する可能性大)。後半は眼が醒めるような現代功利主義のコンパクトな解説を含むシジウィックの再解釈。しかし松嶋敦茂『功利主義は生き残るか』を読んだ後だとあまり(自…

藤井省三『村上春樹のなかの中国』

講義用の資料として。『世界は村上春樹をどう読むか』や黒古一夫『村上春樹』の附論「中国における村上春樹の受容」(王海藍)なども。高度経済成長と都市部の大衆消費のアイコンとして。 村上春樹のなかの中国 (朝日選書 826)作者: 藤井省三出版社/メーカー: …

でろでろで〜

ギャー! 『失われた時を求めて』を立ち読みしていた女性があまりに綺麗だったので、それをネタにブログを書こうと思ってたら、『地獄小僧』をうっかり買うのを忘れた!。 伊藤潤二や楳図かずおなども怖いですが、僕が子供のころに本当に怖かったのは日野日…

フランスの戦争物

ちょっと前だけれども小野耕世さんたちの講演会でふれてて、題名確認せずに気になっていたフランスの戦争物はこれでは? C'était la guerre des tranchées, 1914-1918 いま、積読だった『pen』の世界のコミック特集を読んでてきがついた。しかしフランス物は…