雇用維持の成果はいかほど?

 雇用調整助成金など現行政府の「雇用維持」政策についての評価としてはどんなものがあるのか、昨日の夜調べてみた。

 一説だと雇用調整助成金を止めると失業率が9%以上に上がるという説もあるが、その中身(例えば現行の失業率の推測と違うもので評価するなど)はわからないのだが、そのままに数字をとればちょっと過大にこの政策を評価しているようにも思える。

 去年出たものだが、みずほ総研の人のレポートだと雇用調整助成金の効果は、完全失業率を0.7%、約45万人の維持をしているとのこと
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/japan-insight/NKI090805.pdf

去年の調査だけど、労働力人口の推移や休業者の推移からいってもたぶん現状でもそのくらいは雇用調整助成金の雇用維持効果はあるだろうなあ。とすると実質的には5%台後半か。ただしこの調査は、求職意欲喪失者だとかは考慮外であるのも注意を要する。

 休業者はこの助成金の拡充が行われた08年末以降の高い水準(拡充前は100万人平均なのがいまは130万−140万人台)を維持している。これを上のレポートのように助成金の効果が継続しているものと評価すれば、そこそこの成果があるといえる。

 また、昨年度の予算、補正(2回分)合わせて雇用維持にはだいたい6500億円ぐらい支出している。その成果がだいたい失業率を0.7%前後押し下げていると考えることもできる。まあ、まさに典型的な応急措置であることは確かだろう。いまの厚労省は最近も助成金の要件の緩和をした。また来年度の予算も増額態勢だろう。この種の応急措置で、円高による圧力を回避しようということだろうが、そもそもの円高トレンド自体が長期デフレの推移がもたらしたものであるならば、このような応急措置をいつまでも続けていてもそれはあまり賢明な政策とはいえないだろう。