橘龍介『魔法少女と学ぶ! ピケティ入門』

 ピケティの本にはない、この著者の19世紀以降現在までの資本主義史は、日本の多くの大学で教えられている政治経済学(もとはマルクス経済学系の教員の教える科目)を習ったことがある学生たちには読みやすいかもしれない。またあいかわらず貨幣的側面は弱く金融政策の出番はなく、公共事業がなぜかクローズアップされている(これもピケティの本では全面にはでてこない)。

 ピケティの解説部分はきちんとしているので、ざっと読む分にはいいと思う。魔法少女がピケティを解説するという日本的な文脈以上に、中身の方が日本的すぎる。