法の裏付けのない「官邸主導の経済会議」とは、経済対策で何もしない(注視する)か、官僚主導のどちらか

NHKニュースより
官邸主導の経済会議創設へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110901/k10015297371000.html

経団連の米倉会長との会談の中で、野田首相は官邸主導の経済会議を創設して、それで成長戦略や税と社会保障の一体改革を議論するようだ。もちろんこれと似たりよったりの会議や委員会をつくるのは前任者である菅首相も得意技だった。

しかしこの種の会議では、経済財政諮問会議のように、法律的な裏付けがなければ、ただの「高級語り場」で終わるのが、ふつうであり、むしろ終わらなければ異常事態である、というのがあちらの世界の常識ではないだろうか?

経済財政諮問会議のように、工夫次第では、官僚たちのコントロールから比較的自由な環境をつくることもできるが、このようないわゆる「官邸主導」は「官僚主導」と同じであり、そこからは議論で自由なことをいっても、結局は、野田首相の場合は、いままでと同じ財務省のシナリオ通りのものしかでてこないであろう。

こういう「なにもしません」かあるいは「財務省のポチ首相です」と公言するに等しい環境を、経団連のこれまた経済観に問題がある米倉氏との対談で持ち出すことが、いかにいまの日本がまともな議論の場もなければ、まともな経済政策を実行できる余地が少ないかの見本に思えてならない。

この種のニュースで、首相と財界の「やる気」が演出されることこそ、国民世論を大きく誤らせると思う。むしろこのニュースは、首相がいまの危機的な経済環境に対して、真剣に取り組むことを組閣前から放棄しているというシグナルにさえ思える。本気ならば、法的な裏付けのある組織にするか、より簡単には経済財政諮問会議を再開するだけでいい。少しぐらいは本気をしめすのが、首相になったものの行いではないだろうか?