若田部昌澄「国家戦略局は役に立つ?」

 『Voice』最新号収録。

 ネットでは以下で読めます。
 
 http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=212

 今回の『Voice』は山形さんの連載も面白かったし、飯田さんの記事も参考になりました。上記の若田部さんの記事の僕からみた要点は以下です。

 会議の失敗から学ぶべき点も多々ある。何といっても残念なのは、経済政策の司令塔としては2点において力不足だったことだ。

 1点目は財務省との関係、とくに予算編成との関係である。政策は結局のところ予算として結実する。財務省は金庫番的な発想が強く、今後民主党が政策を具体化するうえで衝突しかねない。

 2点目は日銀との関係である。竹中氏は政府と日銀の政策目標共有をめざしたそうだが、それは失敗に終わった。

 じつをいうと、政府首脳と日銀総裁が定期的に会うことのできる公式会合は、(政府にはほとんど発言権のない日銀政策決定会合を除けば)これまで経済財政諮問会議しかなかった。その会議が廃止された。今後政府と日銀の政策協議はどこで行なうべきだろうか。国家戦略局に置かれる会議で行なうというのが1つの考えだろう。

 金融政策の前提になる政策目的がはっきりと政府と日本銀行が共有していない。また現状ではそれを協議する場もない。という日本のこの驚くべき空洞は、日本の病の縮図そのものでしょう。いかなるいいわけも通用しないので、一時もはやく国家戦略局でもなんでもいいですから、日本銀行と政府はきちんと政策目的の共有の議論を行うべきでしょう。

 もっともその共有すべき目的の構築に、小泉政権の下では一貫して失敗したのですが、何度もトライする価値はあたりまえですが十分すぎるほどあります。