高橋洋一さんが数日前に発言したかと思うが、その政権の人事をみればその政権の政策評価がだいたいできる。今日の野田新政権をみれば、あたりまえだが、民主党の増税賛成路線が、党内の政治バランスはどうあれ、結果的に「過半数」をしめたのだから、増税賛成を基調とした、事実上のデフレ・円高放置が継続するのは、ある程度人事をみる前から予想がついた。下のエントリーにも書いた「官邸主導の経済会議」も、従来の野田財務大臣時代からの手法である財務省のコントロールでやる官僚主導会議の別名にすぎない。
今日の新内閣で、安住財務大臣、古川経済財政大臣などが決まった。安住氏についてはまともな経済対策をいままで聞いたこともなく、要するに「素人」である。この経済的な難局で、特に政治的な調整力に秀でている印象もなく、また経済的な見識もない人物を財務大臣にすえるということは、この政権の方向をよく示している。
また古川氏であるが、このブログで提供された資料をみると、とりあえずデフレ対策は匂わすが、肝心要の日本銀行への要求はかなり消極的である。実はこの古川氏が菅政権の内閣官房副長官のときに、われわれはデフレ対策の必要性を彼を通じて政権中枢に伝達しようと試みたことがある。そのときに古川氏の態度は、まったく消極的であり、事実上、デフレ対策の意見を彼の手前でにぎりつぶされた、という印象がある。それは上記の国会での彼の消極的な態度と整合的である。古川氏の内閣での権力の上昇とだいたい同じスピードで、菅政権のデフレ対策への消極姿勢が決まっていったと思う。つまりデフレ継続の主犯としか僕には思えない人物だ。
ただ驚いたのがぐぐればわかるが、同時期に古川氏は「政府と日本銀行のデフレ対策の一体化」を主張しているのだ。これはある種の政治家のタイプにみかける政治的な分裂気質なのだろう。好意的にみれば政治世渡り上手なのかもしれないが、いまの日本にそんな面での器用さは、政治家本人の幸せ以外になんの役割もいらないだろう。
そして野田首相は、率直にいって、財務大臣時代からなぜ財務省にとりこまれたのか、という精神面の根拠は、僕もつぶやいているが、高橋洋一さんのこのつぶやきにあるとおりだと思う。
野田首相の注視する=なにもしない、財務官僚丸投げ方針、古川氏の日本銀行への消極姿勢、さらに素人の安住氏、官邸主導ならぬ官僚主導の経済会議というイベント(喜ぶデフレ派の経団連会長という「応援団」)、なにも決められず有名人のダベリ場に堕している復興構想会議(増税構想会議の別名)、そして素人の財務大臣と一体化して仕事をする予定の金融素人が半分以上の日本銀行の政策委員たち。
これで期待せよ、というのが無理だと思う。事実上、発足と同時に経済対策については終わった内閣という評価で十分だ。