「国のかたち」と国債引き受け:白川方明日本銀行総裁講演

ロイターの配信した記事より
日銀総裁、中銀が国債引き受けないのは「国の形」と副作用を警戒 http://bit.ly/qKjhuZ

これを読むと、国債引き受けという「リスク」をおかすことは「国のかたち」をおかしくするそうである。ところで、「国のかたち」とはおそらく議会の議決というものが大きくかかわっているだろう。しかもすでに決まった議決を、「国のかたち」という憲法にも経済学の教科書さえ書かれてない理由で、拒否すれば、それこそ、日本銀行総裁自らが「国のかたち」をおかしくすることになるだろう。

例えば、2011年度の予算書の一般総則では、「第五条 国債整理基金特別会計において、「財政法」第五条ただし書の規定により政府が平成23年度において発行する公債を日本銀行に引き受けさせることができる金額は、同行の保有する公債の借換えのために必要な金額とする」という記述がある。これは高橋洋一さんの指摘ではっきりしたものであり、つまり日本銀行はいままでもずっと総裁のいう国債の引き受けをやってきたのである。

ちなみにこの予算総則での「同行の保有する公債の借換えのために必要な金額」の上限は、日本銀行保有国債のうちで今年度で償還される予定額30兆円である。現状での日銀引受額は当初の計画では約12兆円であった。

上限が議会の議決をすでにとおっているので、政府の判断で最大30兆円の範囲内で、日本銀行は「国のかたち」を維持したいならば、それを粛々と引き受けるのみである。

上記のニュースの白川総裁の発言だと、これは今年度の議決ですでに引き受けた額に対しても政府を批判していると解釈できる余地もあり、明白な立法府への批判と受け止められてもおかしくない。これは与野党問わずその真意を追及すべきだと思う。