古谷経衡『インターネットは永遠にリアル社会を超えられない』メモ

 一気に読破。主張はきわめて明瞭で、いくつかの事例を参照にしながら、インターネット社会の反応を「氷山の一角」としてとらえる見方を批判し、他方でむしろネットとはいまだ「亀の甲羅」「島宇宙のひとつ」「クラスタのひとつ」でしかないと捉える。

 具体例は実に豊富で、ネット保守、次世代の党などネット社会の注目を集めた話題の分析が特に面白い。5日のトークイベントでさらに出演者で話題が展開していきそうで楽しみである。

 野村一夫さんがtwitterエリザベート・ノエル=ノイマンの『沈黙の螺旋理論』との類似性を指摘していたのに刺激された。ノエル=ノイマンは10数年前に猪瀬直樹メールマガジンに関わっていた頃に、宮崎哲弥さんにすすめられた本のひとつ。当時は(いまもだが)メディアと世論、経済政策形成との関連が自分でも大きなテーマだった。

 古谷さんの押井守ビットコイン、「イスラム国」のプロバガンダ、フィンチャーの映画作品などへの言及が刺激的で面白い。ここらへんも話題が展開するといいな、と思う。