ギリシャ危機、そして共通通貨ユーロの行方を考える良書。独白形式なので読みやすい。自国の経済的利益を最優先としてユーロ圏の現状維持を志向するドイツと文化的利益を優先するフランスによって成立しているユーロという歪んだ通貨をめぐる分析。ギリシャ危機も簡単に言うと先延ばしされただけ、という大方の見方を竹森さんらしく深く分析している。
数年前のギリシャ危機から今年の危機の再発までの時系列的事象が詳しく、今回の「救済」のフレームも丁寧に解説しているので便利。緊縮財政はGDPを減らすことで結局はギリシャ危機を継続させるが、同時にギリシャ危機を解決しないとフランスの離脱という形でユーロが消滅する可能性もあり、そのユーロ離脱の手法も本書では丁寧に説明していて、通貨とは何か? を考える上で多くの人のいいテキストになるだろう。

- 作者: 竹森俊平
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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