皆川典久『東京「スリバチ」地形散歩』

 これは面白い! 著者が自ら作った都内の3D画像や写真を豊富に利用し、いかに東京が興味深い「スリバチ」に恵まれているのか、いくつかの法則(地形の特質と土地利用の在り方が複合してできたもの)を説明していきながら、その土地の来歴と魅力を教えてくれる非常に斬新な印象の本である。東京に生まれ住んではや40年近く(途中埼玉の川越にいたけど)、東京の街並みを歩いているとふと思う心象風景が、実は古代(というか地質学的な太古)からの自然活動と、わずか数十年、数百年の人間の営みの結晶であったことがわかるのが面白い。もう話題にはなっているだろうけど手元に置いておいて少しずつ読み続けたい本である。

凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩

凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩

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