日本銀行が市場外の情報をしばしば活用していることはよく噂されていることです。またそれとは別にメディアが日銀からの情報をそのまま流してしまうこともままあるでしょう。それは結果的に、日銀の政策を客観的にみることが難しい状況さえももたらすかもしれません。
例えば今日の報道ですが、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?clu=20091202-00000154-jij-pol
:鳩山由紀夫首相と白川方明日銀総裁は2日、首相官邸で経済情勢をめぐって会談し、デフレ脱却に向け協調して対応していく方針などを確認した。首相は会談後、記者団に「認識の共有ができた」と強調。白川総裁は「一段の追加金融緩和の要請はなかった」と述べた。:
これだと政府も日銀も現在の政策の枠組みで十分デフレ克服に足りるという印象をもつ人もいるかもしれません。しかし一昨日のエントリーにも書きましたが、日銀の今回の政策は、景気の状況よりも政治的局面や世論動向をにらんでの判断です。しかもその金融緩和のスタンスはあまりに限定的なものです。
ところでこのような日本銀行の政策スタンスを批判的にみるためには(みたくないひとは日銀のHPをみて満足してください。それが最上の解説です)、以下の三冊の本をお薦めします。
これは最も最新の日本銀行批判の書であり、制度、政策、ガバナンスにわたる話題を。理論的・歴史的視点を織り交ぜながら、しかも平易に解説している。この一冊を基礎にすれば、今後の日本銀行の政策運営も、ただ単に日本銀行やそれをそのまま紹介するメディア・評論家にだまされることなく、大本営発表に打ち勝つことができるだろう。ぜひ読まれたい。
- 作者: 岩田規久男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/19
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2 中原伸之(聞き手・構成藤井良広)『日銀は誰のものか』
日本銀行法が改正され、ゼロ年代初期の審議委員であった中原氏の孤高の闘いを明らかにした歴史的な価値の大きい書籍。審議委員の大半がほとんどイエスマンとして機能している今日、その理論と執念に裏打ちされた行動の記録は何度も読む価値がある。そして随所に描かれた日本銀行の体質とその問題は今日も再考すべきものであろう。ともかく売りきれになる前にゲットしておくべき。他の審議委員、副総裁、総裁の回顧録はただの名誉職でした終わり、というものかあるいは、トンデモ経済学という域をでないので読まないでもいいだろう。
- 作者: 中原伸之,藤井良広
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05/01
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3 藤井良広『縛られた金融政策』
速水優時代の日本銀行を冷徹なジャーナリストの見地から描いた労作。これも中原本と対照させて読まれるべきである。
- 作者: 藤井良広
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2004/01/22
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もちろんこの三冊以外にも、いわゆるリフレ派の書いた日銀批判の本があるが、とりあえず上記三冊を読むことが、その賛否は別にして、日本銀行の発表やまたメディアでの報道を自分なりに読む解くひとつのステップになることは疑いないと思う。