効率性という車輪に少し砂を撒く

 ロナルド・ドーアが同志社で講演をするらしい。旅費の申請が下りれば聴きにいきたいと思ったりもする。一昨日のケインズ『一般理論』のエントリーで、将来における貨幣供給量の増加と将来における貨幣賃金率の上昇の組み合わせを、ケインズが推奨した、と書いたが、これをほぼそのまんま政策提言にしたのが、ドーアだろう。彼は昔からインフレ目標と所得政策の組み合わせを日本の処方箋として説いてきた。いま世界同時不況の中で彼がどんな考えをもっているのかは知らないが少し興味がある。マクロ政策の組み合わせで同種の主張をしているのが稲葉振一郎だがw。

 ただ所得政策の日本における実行となると僕は日本銀行以上にわが国の最大労働組合組織への幻滅もあるのであまり期待していない。ただ民主党の子育て手当やその他の家計へ直接所得を補償していく政策が、貨幣膨張(インフレ目標)と組み合わせになれば、ドーアの主張する政策に限りなく接近はする。まあ、こちらはこんど政府の方が後者の貨幣膨張(日銀の長期国債引き受けインフレ目標)を交渉に持ち出すことにかぎりなく消極的に思えるのが現状である。

 というわけでちょっとドーアの本を読み返そうかと思ったがぼう大な資料に埋もれて一冊もでてこない 笑。ちなみにドーアについてはいままで以下に書いてきた。ドーアへの評価はおそらく僕の周辺の知人まわりでは、僕が一番甘いだろう。まあ、ミクロ政策ベースになるとかなり分かれるのは止む無し。

いままでのドーア関連のエントリー

ロナルド・ドーア『誰のための会社にするか』http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070329#p1(未完)

ロナルド・ドーア『日本型資本主義と市場主義の衝突』http://blog.goo.ne.jp/hwj-tanaka/e/91ba897cc37696e833520d86227b2f32

岩田規久男『そもそも株式会社とは』http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070327#p1
岩田規久男『そもそも株式会社とは』(承前) http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070328#p2