鷲田小彌太 『夕張問題』


 積読にしていたのを読む。これは力作かつ有意義な読書体験。夕張の「破産」の真因を自治体の観光事業の失敗と裏借金が可能であった法制度の欠陥に焦点をあて、さらに政府や自治体に依存しない「夕張メロン」産業の成功事例を詳細に紹介し、農業中心で、なおかつ不可避な高齢者中心の共同体の構築を説く。全編に著者の情熱と国の機関への依存を断ち切る経済センスあふれる筆致には率直に感銘。まさに題名通り夕張問題を議論するたたき台になる好著といえる。はげしくおススメ。


「夕張問題」 (祥伝社新書)

「夕張問題」 (祥伝社新書)