小峰隆夫『日本経済の新局面』


日本経済の新局面

日本経済の新局面


 う〜ん、なんか淡白すぎる。前作の『日本経済の構造変動』は日本型雇用システムの変容を独自に考えていて興味深いものだったんだけれども本書は総花的になってしまい凡庸な出来では? 実は前作の感想を書くつもりでいたんだけどこの新刊で水を差された形。しかも面白ければよかったんだけど……。総花という花が好きな人にはおすすめします。例えば今般の景気回復と2000年段階のそれとの比較は役に立つ人もいるのではないかと思いますが。あと大学教育での「人づくり」の熱意はわかるけれども、大学教育よりもむしろ初等教育の質の低下をいまより起きないようにすることのほうが本書でいうような「人づくり」には有効なのではなないでしょうか? 正直にいって漢字の読み書きや文章の作成、読書の習慣なんて大学(高校でもだけど)で本当には身につかないし、やるべきことでもないでしょ? これが失敗している現状で、「人づくり」といってもどんなことを大学ですべきか? 僕には課題重すぎますね。


前著の『日本経済の構造変動』については機会があればまたふれます。