河上肇の古本について簡単にコメント

趣味もかねて、何十年経ったらぼろぼろになってること確実な経済学関係の古書を最近は購入している。お手本は、日本経済思想史研究の先達である住谷悦治の「貴重書リスト」(『住谷天来と住谷悦治』みやま文庫 所収)。

 

特にその中でも住谷悦治自身と河上肇の古書を集めている。値段としては高価なものではないが、市場には出てこないのでそれなりに集めるのは大変ではある。それに河上肇は全集に収録されているものが大半なので、研究的にはそれを利用すればいいだけなので、特に原著を参照にする理由はほとんどない。だが、実際に集めてみると、その本が出た時の時代の雰囲気や著作出版に関わった人たちの思いなどがわかり勉強になる。おそらく住谷悦治もそのつもりでせっせと明治期の本を集めていたのだろう。

 

特に河上肇は達筆で(『河上肇の遺墨』という名著もでている)、彼のお手製の本のそのままの復刻(『雑草集』『ふるさと』)は読んでいると、やはり河上の肉声がわかるような気がするから不思議だ。

 

以下はXであげた画像をそのままコピペ。

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以下は『貧乏物語』の初版(の改訂、大正8年)。装丁は弟の画家、河上左京による。かなりセンスがよく、もっと状態のいい古書だったらよかったな、と思う。意外とこのベストセラーは、函つきで状態のいいものはでてこない。

 

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表紙をひらくとこんな感じ。

 

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以下の『社会主義評論』は住谷悦治の貴重書所蔵の中でもわざわざ「貴重書、稀覯書」と解説がついている。『新史観』は河上肇全集(岩波書店)未収録。河上肇全集には、総索引がないのと、また全集出版以後の未収録詩歌・書簡もいくつかあり、また『新史観』のように河上の翻訳と英語論文は編集方針から入っていない。

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河上肇については、おそらく関連するエントリーででてくるさまざまな媒体に書いて、のちにブログに転載されたものを読んでほしい。