モンドラゴンと反ホモ・エコノミクス

二週間ばかり前に、経済理論史研究会の重田園江氏『ホモ・エコノミクス』(ちくま新書)の合評会に出かけた。いろいろ勉強になったが、ホモ・エコノミクス批判という文脈では、自分の関係したものは、やはり『アダム・スミスの失敗』であり、そこでとりあげられているアイン・ランドとまたモンドラゴンについて席上で言及した。アイン・ランドについてはまた別の機会にブログでも書くとして、ここではたぶん研究会ではリアクションがなかった(笑)、モンドラゴンについて、簡単なメモ書きをしておく。

 

モンドラゴンは、スペイン北部のバスク州に本拠がある、モンドラゴン協同組合グループ(MCC)の略称であり、また世界的な協働組合運動を代表するグループである。その設立由来や1980年代ぐらいまでの活動については、『アダム・スミスの失敗』に詳細な説明がある。モンドラゴン自身の説明は以下。

https://www.mondragon-corporation.com/en/about-us

 

個人的には、協働組合運動に資本主義やあるいはホモ・エコノミクス(利己主義的な人間像)に代替する経済像を期待するのは、やややりすぎだと思っている。せいぜい(小規模な)補完的な位置にこれらの協同組合はあるだけだろう。

 

この点については、拙著『日本型サラリーマンは復活する』(NHKブックス)の中で詳細に解説したのでここでは書かない。ぜひ関心があれば参照されたい。

 

あの本から20年以上が経ち、その時のモンドラゴン理解でとどまってしまっているわけだが(笑)、その後の経営問題などは報道レベルでは耳にしていたので、この機会に多少の文献を読んでみることにしたい。以下はそのためのメモである。2002年以前のものは前著でふれているので省略する。

 

展望論文は、以下。

石塚秀雄「モンドラゴンの現在と研究の到達点」

http://www.e-kyodo.sakura.ne.jp/ishizuka/1712oohara-mondoragon.pdf

石澤香哉子「日本におけるモンドラゴン協同組合研究レビュー」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ccijreport/83/0/83_16/_pdf/-char/ja

 

こちらは上記した経営問題についてのエッセイ。

 

モンドラゴンの課題とジレンマ──白物家電メーカーのファゴルの倒産を受けて

https://shukousha.com/column/hirota/5216/

 

ちょっと検索して驚いたのが、立憲民主党モンドラゴンの現地調査が昨年あったこと(w)。

スペイン・モンドラゴン協同組合視察報告会で小川淳也議員が報告 - 立憲民主党

 

この小川淳也議員の経済論みたいなものが一時期、ネットでも話題になったのもついでに思い出した。読んでないけどw。和田静香氏との共著『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』。

 

モンドラゴンの本で以下は読んでみたい。

 Claudia Sanchez Bajo &B. Roelants(2011)

Capital and the Debt Trap: Learning from cooperatives in the global crisis 

https://www.amazon.co.jp/dp/1137372354