浅田統一郎「安倍新政権の金融政策の経済学的根拠について」

 安倍新政権の金融政策の意義を浅田さんが専門的な見地からしっかり解説。特に真ん中のフィリップス曲線の理解は重要。また人口減少デフレ説もトンデモ説せあることが明瞭に説明されてます。


http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20121220.htm

2000年代の日本経済は、年率1%前後の緩やかな持続的物価下落(デフレ)を伴う長期停滞に陥ったが、この過程で、失業率が上昇しただけではなく、図2に示されるように、金額で測った国民の総所得を表す指標である名目GDPの成長率(名目成長率)と国民の実質的な経済的豊かさの指標である実質GDPの成長率(実質成長率)の双方が、密接に連動しながら低下していった。このように、年率1%前後の緩やかなデフレでも、国民の名目所得のみならず実質所得や失業率に深刻な影響を及ぼすことが、問題なのである。

ちなみに日本の失業率はデフレによって高止まりですが、浜田宏一先生や岩田規久男先生たちの指摘や、拙著『雇用大崩壊』でも書きましたが、雇用調整補助金やそのほかの日本の制度的要因で、かなり低めにでていて、本来的な真の(潜在的)失業率は10%近傍だと思われます。決して欧米に比べて低くはないのです。