荻窪ベルベットサンでのトークイベントで利用した資料をもとに、簡単に最近の日本経済の動向を解説。
一言でいうと、足元の経済は一見よさそうにみえるが、日本経済の減速を告げる重要な指標もいくつかでている。
まず景気予測のスタンダードといえるイワタ式景気予測法から。
コンポジット・インデックス(CI)の先行系列の6ヶ月前・対比年率を景気予測に用いたもの。CIは景気の強さや弱さを表すもの。
イワタ式でいくと2012年7月は91.8、2012年1月は94.6と2.8ポイントの大幅な改悪。今年前半の改善傾向から、先月より改悪傾向が加速している。危険信号だ。
次にインフレ予想を調べるためのブレイク・イーブン・インフレ率。これを市場が歪んでいるなどと軽視する人がいるけれども結果をみると非常にあてはまりがいい。以下の図をみると2月に久しぶりにデフレ期待が解消したが、それでも1%にも届かないうちに、6月から低下傾向が続き、再びデフレ期待への転落の危険性、少なくとも物価の不安定度が高まっている。この数値をみると、とてもではないが近い将来に1%に届くようには思えない。日本銀行のインメドの効果打消しや他国の緩和傾向、ユーロ危機の下でもあいかわらずの戦力の逐次投入的な緩和姿勢が影響しているのではないか。
また現時点でのGDPギャップ(つまり総需要不足の状況)をみておく。
内閣府の発表をもとにすると、2012年第2四半期の現実のGDP(実質、季節調整値)は約520兆円、他方で潜在GDPは約530兆円。したがってGDPギャップは約10兆円のマイナス幅ほど。デフレギャップは継続するも縮小傾向にある。
またオーカンの法則を利用したものだと、現時点の完全失業率4.3%なので、インフレ加速させない失業率は約2.4%であり、オーカン係数5とすると、GDPギャップはだいたい40兆円台後半であると思われる。こちらのオーカン法則を利用したものの方がいまのデフレ傾向うまく説明しているのではないだろうか。
以下はGDPギャップの理念図。
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