竹中平蔵氏の国土強靭化についての見解

 きわめてまっとうな主張だと思う。

竹中平蔵のポリシー・スクール 8月16日 “国土強靭化政策”をどう受け止める?http://www.jcer.or.jp/column/takenaka/index392.html

改めて公共投資のあり方を根本的に問う理由として、投資額削減の中で今後の更新投資が十分行われうるか、懸念が出てきたことがあげられる。日本はすでに大きな公的資本ストックを有しており、それを維持するためだけでも今後多額の投資が必要になる。国土交通省によると、2029年の時点で建設後50年以上経過する社会資本の割合は道路・橋で51%、港湾岸壁で48%になるという。従来通りの維持管理・更新をする場合、2037年には必要な更新投資額が投資総額を上回る計算になるという。その意味で、長期的な公共投資戦略が求められている次期を迎えている。残念ながら現状の国土強靭化政策には、上記のような意味での厳格な長期ビジョンが伴っているとは言えない。

 ただ竹中氏は前向きにこの国土強靭を考えて、新たな活用法としてコンセッションを提起している。

「既存の資本ストックを活用するという視点だ。具体的に、キャッシュフローのある施設に関し、「コンセッション」といわれる手法を活用することだ。コンセッションとは、資本の所有は公的部門が引き続き担当するが、料金をとってその施設を運営する権利を民間に売却することを意味する」。

 そして国土強靭化の現在の主張には、一定の既得権への配慮があることの指摘も忘れていない。
「現実問題としてこの強靭化政策には、地方の実質的な主力産業である建設業を助けるために、減少してきた公共事業を再拡大させたいと考える政治的意図が存在していよう」。

 かなり簡潔に論点がまとめてある優れた論説である。なお上記論説における空港でのコンセッション事例などはかなり前になるが以下の文献も関連している。

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