伊藤秀史『ひたすら読むエコノミクス』

 しばしば日本の企業の「優秀性」とか「これからどの企業が生き残るか」などと取材や対談などをうける機会が最近増えてきた。日本の企業の問題について考えるうえで、本書は基礎的な見方を提示しているといえる。特に最終章の組織内のコミュニケーションの問題を扱ったところや、イエスマン問題などはわかりやすいだろう。ジョン・ロバーツの『現代企業の組織デザイン』や『日本の優秀企業の研究』、さらに伊藤氏の『契約の経済理論』やミルグロム&ロバーツの『組織の経済学』などにすすむといいのだろう。簡単に読めるのも本書のいいところである。例えば、こういう経済理論的なアプローチに加えて、長谷川正人氏の『なぜアップルの時価総額ソニーの8倍になったのか?』などを補えば、日本の企業を語る準備はできそうである。

ひたすら読むエコノミクス

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