日本銀行の「120兆円で上下動する」バランスシートと円高、首相と日銀総裁対談

 いまの日本銀行の金融緩和の手法をバランスシートの資産構成でみてみると、08年8月のリーマンショック以前と現時点を比較すると、だいたい資産規模は約8兆円増加、資産構成は長期国債を当時にくらべて10兆円ほど増やしている。ただし総額は120兆円前後推移

 バランスシートの総額を例のデフレ宣言以降(09年12月)でそれまでの量的緩和終了モード(100−110兆規模)を上昇させ、120兆までもっていき、ここ6,7月と120兆路線を手じまいして、110兆円レベルで推移(ただし長期国債は5千億から1兆数千億で微増)。

 バランスシートの規模を一時期の120兆円超えから修正して、4月以降から6、7月と110兆円規模に落としてきている。バランスシートの大きさが金融緩和の指標とするならば、日本銀行が一時期ほどの緩和姿勢から次第に撤退しているのがわかる。

 量的緩和解除モードの07年6月は資産規模が100兆円ちょうどぐらいまで落ちてたので、だいたい日本銀行の「金融緩和」は今般は120兆円ラインを目安にコントロールしようという「量的緩和」のスタンスと思われる。現状は次第に撤退モードだが、それが今月どうなるか? 

 ここ数カ月の撤退モード(120兆円超ラインから120兆円以下へのシフト)が、円高のひとつの背景だと思われる。

 たぶん今週予定されている総裁と首相との会談があっても、日銀的には120兆円以下からまた120兆円超(しかも上限125兆円くらい)に戻すだけではないか。ものすごく譲歩したことを書くが、せめてやるなら130兆円ラインまであげるべき。それくらいなら日銀流理論でも譲歩できるのではないか?(もちろん本格的な脱出には、いまの日本銀行の政策スタンスから遥かに遠い