勝間和代、緊急警告 大恐慌来襲『夕刊フジ』

 今日の『夕刊フジ』の一面ほぼ全部と二面にわたって、いまの日本経済の深刻なありように勝間さんが警鐘を鳴らしています、「平成デフレ恐慌」の可能性を回避するために何よりもデフレからの脱却が必要であること、そのためのインフレ目標の導入を主張しています。

「仮にマイナス2%のデフレが向こう30年間続いたとすると給料は半減します」

円高がこれ以上進んだら、日本の輸出企業は壊滅的な打撃を受ける可能性があります」

円高が進むと、海外の競合企業の商品やサービスが安く国内に入ってくるため、輸出以外の産業でも業績が悪化します。大企業の業績が悪化すると、そこに品物を納める中小企業の経営はさらに苦しくなる。日本の労働者の三分の二が中小企業で働いているため、悪影響は大半のサラリーマンに及びます」

そして空洞化が進行、雇用状況悪化、事実上の『昭和恐慌』の再来へ。

政府は名目成長率4%を目指す政策をとるべきである。つまりインフレ目標を導入すべきである。

それが財務省が演出している偽の財政危機よりもよほど日本経済の問題=デフレを退治するのに有効である、と勝間さん。勝間さんはこの財務省が喧伝する財政危機についても容赦なく分析し批判を加えてます。そこは紙面をご覧ください。

また住宅ローン、消費のあり高、教育費など個々の私たちの生活防衛にもアドバイスをしています。

全体で勝間さんのデフレとデフレ対策論が一望でき、日本の真の問題が把握可能です。また岩田規久男先生の丁寧なインフレ目標の解説コメントもあります。対して熊野英生氏の日銀擁護論(すでに日銀は従来の常識を破る水準まで金融緩和政策をしているので、これ以上は精神論になりデフレは簡単に解決できない)があります。熊野氏はここ1年以上の日銀の政策が世界の金融緩和から「非常識」に遅れていることを、おそらく日本独自の理由に解消しているのでしょう。そしてそのような日本独自論(誰も満足な説明に成功していない)こそ、これだけ日本のデフレが諸外国よりも深刻になり、緩和政策もなぜか毎度、インフレ目標やリフレ的諸政策だけ排除するという硬直的な政策スタンスを招いているのでしょう。本当の日銀の常識はまったく破られていません。

熊野氏はインフレ目標をはじめ、欧米で試みられたような政策(質・量両面で)で、まだまだ試みられていないものを、「精神論」と切って捨て、なぜか日銀はいますべてやることはやっているという印象を語っているかのようで、僕にはまったく客観的でもないと思うし、むしろ彼の意見こそ日銀に対するある種の精神論のように思えます。

しかしこの記事は企画的にも、いまの政権与党のマニフェストに、インフレ目標が採用されるかどうか、そのタイミングからいっても絶妙でしょう。

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