海老原さんから頂きました。お礼遅れてすみませんでした。この本の特に後半の玄田有史批判からが抜群に切れ味がいいです。
ところで僕は今度の就職本で書きましたが不況であっても中小企業は売り手市場のままです。もちろんブラック企業のようなものが採用を活発化させていることもありますし、また基本的に不況ですので、採用が厳しい現実はあります。だが学生がそれをフォローする保護者、教員、職員とともに企業をサーチすれば、(繰り返しますが不況制約はガチンコ効いてるのであくまでもその制約の中での話しですが)しないよりははるかにいい結果がでるのではないでしょうか? いや、それはしないよりは絶対にいいと思う。
本書の提言でこの点に関連して海老原さんは次のように書いている。
「つまり、就職にあえぐ学生がいたら以下の指導をすることが大切なのだ。
・えり好みせず、中小企業でもいいから、まずは、ちゃんと正社員となること
・どうしても就職できずフリーターになった場合も、その道でがんばり、サブやチーフとなって25歳までの好況期に「そこそこ」企業で正社員となること
・さらに4〜5年後、20台後半の好況期にもう一度ステップアップを目指すこと
略 同時に、新卒採用をしてもまったく学生が集まらない中小無名企業に手を差し伸べることが、行政のなすべきことだと痛切に思っている」(141-2)
僕はまず「えり好み」はすべきだと思っています。それが最初に書いた周辺の大人たちのフォローの必要性にもつながります。もちろんこれは相当に大変なことです。それと「好況期」がくればいいのですが、そのためにはもちろん本書の範囲を超えてますが政府の対策が決定的に重要なのです。就職が困難な時期が長期化することはいままでの日本の経験と、そして現状での政府の対応から十分予測できるので、海老原さんの期待はかなり楽観的に思えてしまいます。とはいえ、中小企業に就職活動の重心を移してそこで会社のことを徹底的に調べようとする姿勢(最初にいいますが入社しないで知ることのできる会社の情報はたかがしれているとはいえやはり貴重なのです事前に企業研究をすることは)、正社員を目指す姿勢はいまの不況の中で(不況対策以外に)とることのできるもっとも望ましい選択肢でしょう(少なくとも僕の本が想定する読者=非就職コア層にとっては)
海老原さんは就職指導にみる「就社よりも就職」重視の考えを批判していますが、僕もこれには同意します。まさに『13歳のハローワーク」シンドローム(これについてはなんと『最後の「冬ソナ」論』で批判してます! 笑)=自分探しシンドロームであり、本人の就活にとって百害あって一利なしですね。
海老原さんの本と僕の本は結構重なる問題提起も多くこれからも参考にしたいと思います。ただマクロ経済的な側面への評価(不況が日本経済に冷たい風だが芽を吹かせる、というまさに清算主義的な考え方にはまったく賛成できませんが。というよりただの誤りだと思っています)。ありがとうございます。
学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識
- 作者: 海老原嗣生
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/12/18
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