大学生たちの就職を考える

 下のエントリーは後でやるとして、さきほど次回作『偏差値40から良い会社に入る方法』(東洋経済新報社)の見本を頂く。まだ書店に出るのは来週末で、本格的には再来週明けであろう。ちょっと考えなおしてこの本の紹介もまめにやることにした。

 いま帰りの電車の中で読んで実感したが、やはり若者の雇用についてその無名大学の新卒市場について書いた本はめったになく、この本の意義もあると深く思ったからでもある。あと最近の僕の本の特徴だが、かなり読みやすくなったと思う。妙な知的な刺激もあるように思い、久しぶりに通読してこれはいままでと全然違うものになっている気がした。いや、自分で書くのもなんだが、それ以外、再読した印象を表現できない。

 若年雇用をいわば一大学教員の就職カウンセリングベースでとらえた本であり、自分としては先のマクロ経済問題を扱った『雇用大崩壊』と完全に相互補完する。あとこの本は別に本務校の経験だけを書いたのではない。自分の就職時の体験、採用側への取材、他の無名校への取材を重ねた結果である。解の見えない世界でどう自分なりにもがいてみたか、その試行錯誤の著作であり、まったくいままでと違うものである。自分でいうのもなんだが、おそらく題名からうける印象と中身のハードな展開の落差に驚くと思う。就職活動を考えている学生はもちろん、就職問題、若い人の雇用問題について考えている人に書いた。

 率直にいえば、若い人の雇用問題についていろいろ論じている大学アカデミズムの住人が多いが、そういう人たちが学生の就職についてちゃんとやっているのかどうか常日頃疑問に思っていることが、本書を書いたいくつもある動機のひとつであることは否定できない。私見では、日本で若い人の雇用問題を論じている大学アカデミズムあるいは評論家の大部分は、いまの学生の大多数の就職についてろくに理解していないのではないだろうか。それは就職カウンセリングの経験が少ないからであろう。

 というか大学教員で就職支援をしっかりやっている人は(必要性があったり、その問題にえらそうに発言してても)ごく少数である。そういう人(就職支援の実体験もないのに大卒就職を偉そうに語る人)は本書を読まないでもいいだろう。簡単にいえば、本を読んでわかった気、あるいはわからない気になるだけで、見込がない論者に思えるからだ。その意味では独特の日本の経済学者批判・評論家批判の趣すらある。つうかこれ別な角度からのエコノミストミシュランであり、(笑)抜きのそれ自体は孤独な書であると確信しているw

 あたりまえだが、日本銀行批判の章もちゃんとあるのはいうまでもない。就職支援をどんなに頑張っても景気がよくなる力の前にはまったく比較にならない効果しかあげられないからだ。反対にいえば景気がわるくなれば、就職支援ももちろん個々の学生の努力ではどうしようもない悪条件がうまれてしまう。その意味では先の一部の経済学者批判という性格も加えて、この書は僕の怒りを伏在している「きれた」本でもあるかもしれない。まあ、一読しただけでは優しい語り口なのでわからないと思うけど 笑

 なお、経済書のコーナーにはないと思うので、就職関係のコーナーで書店でお求めいただければ幸いです。発売は来週末。僕の本としては珍しくひと月前からこまめにアマゾンで予約がはいっている模様。それだけ就職が厳しかったり、若い人の雇用に関心があるのでしょう(なお誤解している人がすでにでているが、他の世代や雇用一般については、繰り返すが『雇用大崩壊』などいままで書いてきたのでそれを補完されたい)。

 なお、この本の内容については積極的にいろんなところで話すつもりなのでご関心のある方はプロフィール欄にあるメルアドでご連絡ください。

偏差値40から良い会社に入る方法

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