いや、ぼくは「海外コミック研究者」じゃないです

 最近、mixiの方でid:boxmanさんが、マンガの専門家などというものは実態のまったくない「風評」にすぎない存在である、という趣旨のことをおっしゃっていて、僕も特に反対する気持ちになっていないのです。ところで今、気がつきましたが、その種の「風評」(というのは書いた方に申し訳ないが 笑)で僕もいつのまにか「海外コミック研究者」に! w

http://d.hatena.ne.jp/kunitatitamami/20090505/1241524021

最初は日本の漫画に比べりゃアメコミはゴミ!とdisっていたはずの田中秀臣がミイラとりがミイラになって海外コミックの研究者に。

世の中一寸先はわからんもんですな。

 まず「スターログメビウス」エントリーは、メビウスを公費で招へいするのであれば、専門家としては少なくとも基礎的なメビウスの研究をしているのが僕の考えている「常識」なわけです。ところが僕が早稲田大学の演劇博物館にたった1,2時間こもってまとめたようなものさえ、日本のメビウス研究?にはないことを不思議に思ったわけです。 よくそんな程度で、公費使ってメビウス呼べたなあ、とある種感銘していたわけです*1。そのときの僕の立ち位置は、単なる(他分野の専門家で文献調査の知識は使ったけど)単なるモノ好き程度です。決して「海外コミック研究者」なるものでは残念ならが(?)ございません。

 それと同じくらい重要なのですが、「アメコミはゴミ!」とは昔も今もいってませんですね。ただいまだに、国際比較ないし異種格闘技風にいえば、日本のマンガの方が総合力と質ではるかに上でしょう。たとえば去年のベストは別に和物・海外物問わずに選んだのですが、すべて日本のマンガになってしまいました(今年は違うと思います、BDが大幅に自分の視野に入ってきたので)。

 で、最近も『WATCHMEN』について書いたように、いわゆるタイツはいたヒーローもの系には冷たい視線を投げることに関しては普遍です 笑。この一年間、気になったマンガは国籍問わずあげましたが、オルタナ系も含めて、アメリカン・コミックにはあまり興味を抱いていないのは自明かと思いました。

 むしろ今、注目しているのは、増田悦佐さんも視野の外にあった、フランスのマンガ(BD)や東南アジア系のマンガぽい人たちに興味を抱き、感銘をうけています。ちなみにこれらは「アメコミ」とはちょっといわないでしょう。

 ところで増田仮説(?)に入るかどうか微妙ですが、広義アメコミ世界をみてみると、日本のマンガ批評のレベルに比較して、ぼくの個人的な感想では、海外のコミック批評の方が数段、手法や問題意識を含めて上なのではないか、と最近思っています。いや、ほぼ確信しているといっていいでしょう。

 そういったのがいまの僕のおおよそのコミック・ワールドへの感想です。

*1:もっと素朴な疑問ですが、原さんはさておき、それ以外の今回のイベントで「マンガの研究者」としてメシを食っている人たちでフランス語をそこそこ読める人は何人いらっしゃるのでしょうか?