日本銀行のスタンスとエコノミスト

 ドタバタしていたのでチェックを忘れてたESPフォーキャスト調査。今回の調査は個人的に非常に面白かった。なぜならばリーマン&AIG問題以降、つまり金融危機が顕在化してから初めての調査だからだ。

http://www.epa.or.jp/esp/fcst/fcst.html

 そして僕の予想通りにあるアンケート結果がでていて興味をひかれた。それはこのような金融危機という事態をうけているのにも関わらず(そして前回よりも国内の経済指標悪化や予測の下方修正などが重なってても)、実に90%以上のエコノミストたちが、日本銀行が今後1年以内に金利を引き下げるのではなく、むしろ遠くない将来にいまだ上げると予測していることだ(前回調査では利下げ派は1名だったが今回は2名に)。不況であるならば利下げを考えるのが教科書的な発想だ。しかしほとんどのエコノミスト日本銀行は不況での利下げよりも、言葉はやや悪いが隙あらば利上げに移ると予測しているわけだ。

 これはエコノミストたちが日本銀行が06年3月の量的緩和解除以降継続している「金利正常化」路線を、今回の金融危機や国内の経済状況の悪化にもかかわらず、今後ともにそのスタンスを変更することはない、と予測していることを意味する。いわばいまの不況は「金利正常化」のための「試練の時」(利上げのタイミングをはかる待機期間とでもいうか)と読んでいるのではないか? エコノミストたちにどうこういっているつもりは無論ない。むしろ彼らが合理的に推測している日本銀行の行動の読みは「正しい」だろう。そしてもちろん日本銀行が市場関係者にあいかわらずの「金利正常化」という異常化のメッセージを発信し続けていることは、すでに経済学すら不用のただの(国際的にも)常識はずれとしてみなされる日が接近してきている、と考えるのは僕だけだろうか?