先週から今週の月曜日が始まるまでは、A.Schwartzが昔区分した「Real and Pseudo- Financial Crises」の前者になるんじゃないか、とヒヤヒヤしてましたが、たぶんその危機は米国では回避されたでしょう。確かに今後とも15日みたいに小売売り上げ高が予想以上に悪化したなど先行きの景況への不安からかなり株価が落ち込むこともあるかもしれませんが、それは理由のある株価下落ですから。むしろ怖いのはDiamond -Dybigがその昔、論じたような自己実現型の危機ですよね。そういう理由が判然としない危機こそ怖いわけですが、たぶんそれはG7やその後の欧米政府の政策によって回避されたのでしょう。
問題はやはり今日の日本経済新聞の一面にもありますが、「世界同時不況」がどのくらいの深さと持続かですね。これについては諸説ありますが、僕はわりと米国の不況は長びかずに、世界を「ふつうの不況の波が覆い」そして日本はその中でも(すでに存在する国内要因に加えて海外要因のショックが重なることで)深刻な部類に入るのではないか、と思っています。
米国の不況はそれほど長びかないという根拠は、原田泰さんのこの論説、安達誠司さんの論説、そしてJames Hamiltonも(ちょっと冗談めかしてますが)通常の景気後退を予測してます*1。まあ、反対にEichengreenのように失業率倍増の「大恐慌」を予測している人もいますが*2。
新興国経済も様々ですね。梶ピエールさんが中国の不動産市場の底堅さを示唆する情報を提供されています(梶ピエールさん自身は慎重ですが)。