書評って大変だよ


 山形HPから、http://cruel.org/other/rumors2008_1.html#item2008040901


 書評は簡単なようでいて実に奥が深い。書評の価値を低評価するのは書いたことがないか、大したものが書けない人の戯言だと僕は思っている。僕が最初に書評の訓練とその難しさを知ったのは、30になって大学院にはいり、故高須賀義博先生の講義にでたのがきっかけだ。高須賀先生は僕らに「専門家になれば書評を書く機会があるのでいまのうちに練習しよう」と講義のうち一こまをその指導にあてた。いまでもそのときの思い出とアドバイスが僕の書評のベースである。故人に責任をかぶせるつもりではないが、僕の書評が辛口なのは高須賀先生の指導のたまものである 笑。


 さて書評の難しさを最近感じていると以前のエントリーでも書いたが、改めて書評(学生の皆さんには感想文と読み直していただいても結構だし、以下はレポートの書き方にも応用できるのでぜひ読んでおくべきだ)を書く際の手本として以下の二冊を紹介したい。


 ひとつは枚数の制限がわりと自由で、なおかつ話題も多様な場合に参考になるもの。鶴見先生の書評集成はこの最後の巻が一番面白い。このことも書評というのは長年の経験がものをいうという証左でもあるのかもしれない。


鶴見俊輔書評集成3 1988-2007

鶴見俊輔書評集成3 1988-2007



 次は枚数が毎回きっちり決まっていて、しかも話題が限定されているときの格好の見本。もちろん本の書評ではなく映画評だが、書評の見本として有益に利用できる。



シネマ・ハント (Eブックス・映画)

シネマ・ハント (Eブックス・映画)


 最後に手前味噌で申し訳ないが、自分としては以下の本のブックレビューが辛口書評の頂点であり、最近は随分大人しくなったものだなあ、と思う。もう少し上記二冊をもとにして融通無碍な書評を書いてみたい。


経済論戦の読み方 (講談社現代新書)

経済論戦の読み方 (講談社現代新書)


 なお個人的にはデビュー作『構造改革論の誤解』出版10周年を記念して自費で私家版豪華書評集を作成するつもりでいる。2011年を楽しみにしたい。笑。