鶴見俊輔『言い残しておくこと』

 御本頂戴しました。ありがとうございます。今年は僕にとってはマンガ批評事始めの年でした。さらにそれに最近では速水健朗さんのいうところの「デフレカルチャー」への関心が接続してきたと思います。来年は本業と両輪でさらに一層この領域を研究していくつもりですがとりあえずいま興味があるのが実は鶴見俊輔でした。彼のマンガ評論に関心があったわけでこの献本にはとても驚きました。しかもこの鶴見氏の回想の中にはマンガ批評の見地からも見逃すことができない発言があります。

 彼は未来に託すものとして『サザエさん』の作者長谷川町子の生き方にみられる「日本自前のフェミニズム」を重視して一書をクローズしているからです。特に長谷川町子の生き方(もちろん『サザエさん』という作品も含めてです)にストリッパーの一条さゆりの生き方を重ね、その反映としての『アメノウズメ伝』(この本は僕も鶴見のマンガ論への関連で特に重視しているものです)とも交差させています。鶴見の演芸論、また彼の母親との関係などを踏まえると興味は尽きません。

言い残しておくこと

言い残しておくこと