『鶴見俊輔書評集成3』


 柳下氏の『シネマ・ハント』と並んで最近、書評の書き方のツールを模倣させてもらおうと斜め読みしているもの。この書評集成で特に注目したのは、巻頭近くの上田辰之助にふれたもの。上田辰之助が『思想の科学』の命名者であり、その命名の背景にはトマス・アキィナス研究などのラテン語に対する深い造詣があったというもの。


 なぜ上田辰之助に興味を引かれたかというと、上田は福田徳三の後継者のひとりといってよく、そのトマス研究の継承はいまも注目を浴びていると思う(主に批判されてだが)。上田辰之助はまだ本格的には誰も論じようとはしていない日本経済思想の中の巨人であることは確か。


鶴見俊輔書評集成3 1988-2007

鶴見俊輔書評集成3 1988-2007