ジェイン・ジェイコブズと東京


 このエントリーはSETH’S BLOGの同タイトルのエントリーから採用したんだけども、自宅パソコンがここ一両日ネットをチェックできなかったので携帯で題名だけみて面白そうだから備忘録として書いたものでした。で、回復して読んだら、あんまり面白い内容ではない。笑。ジェイコブズの都市論の中で過剰人口の問題は、リサイクリングの問題など複雑で解決に時間のかかるような類の手がつけられてない問題であり、その点でいまの東京はリサイクリングでジェイコブズの問題提起を先取りしている、というもの。


 で、これだけだとなんなので、面白いかどうかわからないけれども、彼女の『経済の本質』における東京論を以下に簡単に要約しておきます。ここでは輸入代替的戦略ぽいことを書いているようですが、実際には政府はいらない議論になってます。




 経済発展と自然界に観察される「発展」が本質的に同じだという認識を持っている。経済発展の基本法則は以下の引用に示された発展の基本法則と同じ。


 「発展は一般から発生する分化で、分化されたものは新たな一般性になり、そこからさらなる分化が発生することができる。このように発展の過程には終わりがなく、多様性を増しながら、だんだんといろいろな、多くの入り組んだ共発展の関係を生み出していく。これらすべては、ひとつの単純そうな出来事が繰り返し、繰り返し、繰り返される結果だ」(訳書、28頁)。


 ここでいう共発展(Co-development)は、発展は一系統だけでなく、終わりがないというわけでもなく、その系統樹の形は蜘蛛の巣型であり、発展の一系統は相互に依存している。経済発展はこのような自然発展の一形態である。


 たとえば経済の原初の形態は社会的な計算による分配の経済であったり、または力づくでの奪取の経済であった。これらから取引が分化し、一般性を獲得し、取引自体も多様な取引の形態を分化発展させていった、と考えている。しかもこの経済発展は単に物的な拡大ではなく、発展の中心は経済参加者のインセンティブであることに注意が促されている。インセンティブがない経済には発展はない(ソ連の中央集権経済)。


 さて経済は多様なエネルギーを利用して拡大していく。さらにこのエネルギーの利用の形態は、「活力(エネルギー)自己補給」というシステムによって可能になっている。この「活力自己補給」の原理から、東京の都市としての発展の基礎が説明されている。


  活力自己補給システムの特徴は二点である。1)外部から取り入れたエネルギーの一部はつぎのエネルギー注入を得るのに使われる。この過程は繰り返される。2)使用するエネルギー源に適した装備を活力自己補給体は所有している。


 ここで東京の事例。ミシン(エネルギー)をアメリカから注入=輸入。このミシンは「輸入置き換え」という適応によって、東京に当初から存在していた低コストの小さな機械工場とその下請け群によって輸入ミシンを置き換えたミシンが製造されるようになる。この小さな機械工場ははじめから東京に備わっていたことには注意が必要(先の2)の特徴参照)。そして東京はこれを地方(別な活力自己補給体)に輸出した、さらにこの地方はさらに「輸入置き換え」をして……この過程が繰り返され日本はミシン産業を確立した。いいかえるとこの「輸入置き換え」を可能にしている優位性が、東京を都市として存立させているといえる。この「輸入置き換え」には政府介入のような要素はおそらく必要ない。


経済の本質―自然から学ぶ

経済の本質―自然から学ぶ