ギュスターヴ・フローベールの経済学


 『紋切型辞典』(平凡社、山田ジャク訳より)

経済学……非情な学問
金銭……諸悪の根元。「黄金の呪わしき餓鬼」。今日(現代)の神。大臣がもらえば俸給、公証人なら謝礼金、医者なら薬札、会社・銀行員なら給料、労働者なら賃金、召使なら給金となる。金銭は幸福をもたらさず。諸悪を是正す、この観点より経済学上の論旨を展開すべし。
自由貿易……国内商業不振の原因
商業……商業と工業のいずれが優先すべきかを議論すること。
所有権……社会の礎。宗教よりも神聖にして犯すべからず
富……「富は大胆なる者を助く」。何はなくともこれさえあれば、世間の信用が大事というが、それすら富には換えられぬ。巨万の富という話が出たら、忘れずに言うこと、「ほほう、だがそれは確かな金ですかな?」
農業……国家の両の乳房の一.大いに奨励すべし。人手不足をかこつ。話題に適す。最適なり。
貧民……彼らの救済に一役買うことは、あらゆる美徳の代用をなす。

日本……そこでは何から何まで瀬戸物ずくめだという