昨日twitterでつぶやいたものを以下に。岩田副総裁の講演録抜粋の補遺。
僕の考える実質賃金の下方硬直性の由来については、詳細では『日本型サラリーマンは復活する』(NHK出版)を読んでほしいのですが、簡単にいうと一種の公平賃金で考えています。つまり非正規雇用や求職意欲喪失者や高校や大学の就職を探している人たちの「経済外的勢力」の低さを問題にします。経済外的勢力は、簡単にいうと社会的な評価ですね。
彼ら彼女らは「経済外的勢力」が低いために、正社員たちの享受する「公平賃金」を得ることができないのです。デフレはこの非正規雇用や求職意欲喪失者、学生たちの「経済外的勢力」をさらに低め、他方で公平賃金割るところの物価水準である実質賃金は上昇します。これが失業を生み出すのです。
デフレを脱却することは、この実質賃金を一時的に緩和することで、失業を解消し、同時に学生たちや雇用から排除されてたパート労働をしたい主婦たちの「経済外的勢力」を高めることで雇用状況をトリクルダウンではない形で改善するのです(ちなみにトリクルダウン=悪ではないのでよろしく!)。
僕の話は、岩田先生の講演と矛盾しない話ですし、詳細にはさきほどの拙著を読んでください(130字の羅列で理解したと思うのは間違いです)。またここに僕の考えが日本の経済学の歴史から来たものだとわかる小論説(『エコノミスト』に掲載された)を。
http://real-japan.org/%e9%ab%98%e7%9%b0%e4%bf%9d%e9%a6%ac%e3%81%a8%e7%8f%be%e4%bb%a3

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