「物価が下がろうが上がろうが、一人当たりの販売数量(=生産数量)が増えれば、実質賃金は上昇するのです。すなわち、生産性向上です」という誤解

誰の発言か知らないけど「物価が下がろうが上がろうが、一人当たりの販売数量(=生産数量)が増えれば、実質賃金は上昇するのです。すなわち、生産性向上です」というのが流れてきた。この人は常に労働市場完全雇用にあると思ってるんだろうね。金融・財政政策は意味がないわけだ。まあ言論の自由だ。

 

どうせ僕の発言を信じない人がこのように引用してくるのだろうけど、例えば今のアメリカ経済学会の会長オリビエ・ブランシャールの『マクロ経済学』(東洋経済新報社)をみてみるといい。実質賃金が「生産性」だけで決まるのは、完全雇用のケース。それ以外では、財政・金融政策が実質賃金に影響する。

 

労働市場が常に完全雇用(自然失業率水準=「生産性」で決まる)ならば、これは財政政策も金融政策も無縁。むしろ自然失業率を低下させる必要があるならば、構造改革が必要。この主張をいう人は日本ではしばしば「新自由主義者」といわれてるらしい。個人的にはそういうレッテルはどうでもいいけど(笑

 

 

ブランシャール マクロ経済学〈下〉

ブランシャール マクロ経済学〈下〉