橋本努編著『現代の経済思想』

 橋本努さん編著の『現代の経済思想』(勁草書房)を御恵送いただいた。感謝。今朝からスタバでこの600頁にせまる大著を一気読み。とても面白く刺激的な論考が並ぶ。やはり最新の文献情報や研究の現段階が展望できるのがいい。特に『現代の経済思想』では、各テーマで特定の代表的な論者の所説が丁寧に解説されているものが多く、それが枚数のわりに各テーマの掘り下げの深さに通じていると思う。例えば「文化と経済」はタイラー・コーエン、「嗜癖」はジョン・エルスター、「価値」はヴァン・スタヴェレンなど。自分の現状の関心では、ここ数年の間に対談した著者たちの問題意識がやはり共有できるし、また刺激的でもあった。「贈与」(若森みどり)、「価値」(藤田菜々子)、「嗜癖」(太子堂正称)。他には「幸福」(本郷亮)、「労働」(橋本努)、「ケア」(山根純佳)、「交換」(山本理奈)が勉強になった。特に藤田さんの「価値」章におけるヴァン・スタヴェレンの「アリストテレス的経済学」の構築と、太子堂さんの「嗜癖」のジョン・エルスターの議論は僕には接続して理解ができるものだった。この本は経済思想に興味をもつ人だけではなく、政策論の基礎を考えた人にも必携であろう。この本から発展できる。

現代の経済思想

現代の経済思想