『書斎の窓』の最新7月号に掲載されている若田部昌澄さんの「経済学史の窓から」。今回は「世界的格差拡大でマルクスとエンゲルスは復活するか?」でトマ・ピケティの『21世紀の資本論』を取り上げています。
ピケティの主張はすでに経済学の教科書(ジョーンズの『マクロ経済学』)にも紹介されていますが、若田部さんの要約を以下に。
1)世界中で所得と富の分配の不平等化が進んでいる
2)原因は経済成長率<資本収益率にある(資本主義の根本矛盾…ピケティ)。つまり経済の大きさが拡大するよりも資本の取り分が大きくなる(例外は1914-1945年の戦時期&戦間期)。
3)この世界的所得格差を是正するためにグローバル資産課税をすべき。累進的課税。
若田部さんはこのピケティの議論を19世紀の経済学者と経済学批判者たちの議論と関連させて論じていきます。エンゲルス(革命)、マルクス、カーライル(指導者による労働の軍隊組織化)、そしてJ.S.ミル(機会の不平等格差の是正)。()内はそれぞれの論者の貧困・格差の是正策。
とても面白い論説ですのでぜひこちらから本文をお読みください。
経済学史の窓から第9回 世界的格差拡大でマルクスとエンゲルスは復活するか?
http://www.yuhikaku.co.jp/static/shosai_mado/html/1407/09.html
ピケティ氏のインタビュー(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11188946.html
- 作者: チャールズ I.ジョーンズ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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