岩田規久男講演雇用関係パワポ画像

 山形浩生さんが聴きに行った岩田日銀副総裁の講演会。山形さんのレポートやそこで配布された資料(そこへの山形さんのメモ書き)なは、ここ(http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20140630)に詳細です。

 個人的にはこのパワポでの雇用関係のシートが重要ですね。1)水平のフィリップス曲線(デフレと高い失業との組み合わせ)がいま2013年4月以降の金融政策の転換(=レジーム転換)以降、垂直にシフトしたということ。これはコアCPIとコアコアCPIともにいえる、2)この雇用状況のかなりスピードの速い「転換」(このことは2001年段階のいくつかの著作で予見されていた。参照『構造改革論の誤解」など)によって、雇用者数の増加とその名目の取り分の増加につながっている。

  ところでこのフィリップス曲線の直近の形状からどんなことがいえるだろうか。原田泰氏は近著『徹底分析 アベノミクス』で次のように述べている。これは岩田パワポとも整合的である。

「消費者物価上昇率が2%を切るにつれて、失業率が急上昇していくことがわかる。すると物価が2%に上昇していく過程で失業率は2.5%程度まで下落していくだろう。……しかも現在の失業率は雇用調整助成金で無理やり下げられている面がある。この大きさを0.5から1%であるとされている。すると、実質5%(現在では4%から4.5%…田中補注)の失業率が2.5%まで低下していく。」

 失業率が2.5%まで低下すると、オークンの法則(失業率の変化と実質GDPの変化の関係)でみると、実質GDPは7.5%増加する。実質GDPの増加は実質賃金の中長期的な上昇にもつながるだろう。