藪下史郎最終講義「トービンの金融論、スティグリッツの経済学。早稲田の政治経済学」in早稲田大学

 僕の恩師である藪下史郎早稲田大学教授の最終講義「トービンの金融論、スティグリッツの経済学、そして早稲田の政治経済学」を聞きに昨日土曜日、早稲田大学に行きました。その後の懇親会も含めてとても有意義でした。本当に先生にはここで表現することが難しいほどお世話になりました。ありがとうございます。

 91年に藪下先生が赴任されて、最初の講義は僕も出席したマクロ経済学の講義でした。その講義で、僕はバーナンキの「大恐慌の波及メカニズム:金融危機の非貨幣的効果」をかなり詳細に発表しました。現代的な歴史分析とデフレ研究にふれた、それが初めての経験でした。また藪下先生とは最初の論文で負債デフレ理論の動学モデルを共同で書かせていただき、そこでフィッシャーのバランスシート効果や、過去の様々な金融危機、不況理論を学びました。これらはすべてまるで運命が導くように、後の21世紀から始まる僕自身の日銀問題、日本の長期停滞との本格的な時論的取組のベースになりました。

 バーナンキはちょうど同じ日(日付はずれますが似た時刻帯で)FRB議長を退任し、また藪下先生も早稲田を去りました。不思議なめぐり合わせです。そして懇親会の会場もまた91年にオープンしたフレンチで、僕はそこでちょうど91年に、そのバーナンキの論文をどう報告すればいいのか、いまは早稲田大学教授ですが、当時は助手の若田部昌澄さんと相談にのっていてもらったことを思い出します。これも僕には不思議な縁です。

 懇親会でもお話しさせていただきましたが、先生に教えをうけた学生たちは、どんな場所どんな環境にいても、心のどこかで、先生の教えに深く感謝していることと思います。

 表題のテーマについては、「早稲田の政治経済学」は、政治学と経済学の統合と、それを教育のスキルとしてどう教えていくか、という視点で興味深いものでした。またトービンの金融論(特にミンスキーとの比較)、スティグリッツの経済学における実践性、そして平成大停滞やアベノミクスとの関連なども面白いものでした。

トービン 金融論

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金融論 (ミネルヴァ経済学テキストシリーズ)

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スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない

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