金融政策を考えるときは、名目利子率と同時に実質利子率を考えることが重要(住宅ローン問題の新聞の報じ方から)

 これも6月12日にTwitterに書いたものを修正の上掲載。

 産経新聞産経新聞だけではなく実に多くの新聞やテレビなどに散見される見解であり、特定紙を批判しているのではない。むしろ産経は、田村秀男さんが書くときは素晴らしい記事が多い。念為)のヤフーニュースにあがった記事。

「日銀、供給延長見送り 長期金利抑制にジレンマ 株式など資金移動妨げ警戒」(産経新聞、6月12日)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130612-00000100-san-bus_all(おそらくリンクはそのうち切れる)。

 この産経の記事の問題点は、「11日の国債市場は長期金利終値が前日比0・035%高の0・870%に上昇」という名目金利の小幅変動を過剰に問題視し誘導しているところだ。これでは国債金利は固定金利が望ましくなってしまう。悪しき誘導記事だ。また住宅ローン金利などの消費や、または投資をみるときのキーは実質金利が重要だ。

 実質金利の変化が重要。例えば昨年、11月だと期待インフレ率はほぼゼロ、名目金利は0.5%としよう。このとき実質金利はプラス0.5.いまを期待インフレ率は1.3%ぐらいだとする。名目は0.8%。実質はマイナス0.5%だ。期待インフレ率を1%にしてもいい。まだマイナスだ。

 このように産経新聞の記事は、1)名目値の過小な動きを過剰に喧伝する誘導記事、2)名目と実質の違いを論じられないトンデモ という二点で、この種の記事の典型なのだが、単なる三流以下の記事だ。ちなみにこの記事で想定する市場関係者は「旧日銀まわり」などのごく一部。私情であり市場ではない。

 一応、高橋さんが住宅ローンそのもののケースでも解説してますのでご参考までにhttp://www.zakzak.co.jp/society/domestc/news/20130605/dms1306050709000-n1.htm